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暗い道でもわかるくらい真っ赤になってるみくちゃんを、やっと解放してあげた。抱きしめた感触がまだ体に残ってて、なんとなく名残惜しい。
「ほら、行くよ」
ごく自然に手を差し出してから、首を傾げた。だって普段、女にこんなことしない。勝手に繋がれたり、腕組まれたりするだけだ。変なの、俺。
「えっ……」
みくちゃんは、またいつもの困り顔。
「なに? 男と歩いたことくらいあるって言ってたじゃん? 手は繋いだことないの?」
「そ、そのくらい、ありますっ!!」
ちょっとからかったら、急にセンセイの顔でムキになる。ほんと面白い。
「じゃ、いいでしょ?」
「で、でも……」
「でもなに?」
「せ、生徒と手を繋ぐなんて……」
は? 生徒って、なにその急な線引き。その他大勢のガキ扱いされたみたいでイラつく。
「てか、危ないから」
ぶっきらぼうに言いながら、無理やり手を取って歩きだす。みくちゃんの手、ちっちゃくて熱い。
「あっ……待って」
みくちゃんは振り払うことはせず、慌てて俺に歩幅を合わせてきた。恥ずかしそうに俯いてて、なんなの、まじ可愛い。
なんか変な高揚感。手を繋ぐって、こんなふわふわした感じだっけ。
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