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3時、それは世の煩わしさを忘れさせてくれる時間…
私は自分に自信がない。自分以上にみじめな存在はいないと思っている。特別容姿が優れている訳ではない。手先も不器用だし、体育などは通知表に3しかついたことがない。人見知りで初対面の人とは上手く話せないし、親しみやすさというものがないからか今まで心から友と呼べる人がいたことがない。ただ勉強だけは人並み以上に出来ていた。幼い頃から周りの人々に「かしこい」「頭がいい」などとちやほやされてきた。だから自分には勉強だけしかないと思っていた。そうして周りの期待に応えるように地元でも指折りの進学校に進学した。そう、そこまでは良かったのである。大学受験の時だった。なんでかはわからない。ただセンター試験の時に自分はついに緊張のあまり何も思い浮かばなくなってしまった。ただただそこから逃げたくなった。その教科が終わった休み時間、思わず自分は廊下に座り込んでしまった。その際に優しそうな試験官に拾われことなきを得たが、結局自分が志望していた大学よりもはるかに下の大学に入るはめになった。でもまぁそこの大学は案外良かった。人もいいし、それなりに設備もちゃんとしている。しかし、それでも自分は時々とてつもない絶望に襲われる。なぜ自分はここにいるのか…勉強だけがとりえだったはずの自分はどこへいったのか…自分の何がいけなかったのか…全てを恨めしく思ってしまう。
午後3時、特に休日のこの時間は本当に至福の時間だ。自分はこの時間になると必ず甘いお菓子を食べる。甘いお菓子を食べると嫌なこと全てが吹き飛んでしまう。恨めしいもの全てがなくなってしまう。それに加えてこういう時間を作ることでどんなに自らに絶望しても希望が見出せるのだ。次の午後3時には何を食べよう。グミかクッキーかはたまたアイスにするか…この時間はいつまでも続いて欲しいが、残念ながらあっという間に終わってしまう。でもいいのだ。生きている限り何回もやってくるのだから。時計を見る。針は相変わらず動き、じきに午後3時に近づいていく。あぁ…またやってくる。終わってほしくない私の希望の時間。
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