2きもち

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2きもち

ーー僕の鼻がつんとする感覚を感じながら、僕は涙を必死に抑えようとした。唇の油はだいぶ取れたが、心は ボロボロだ。キスよりも体を売ってんだからそうゆう行為の方が卑猥だ。 自分のしていることが矛盾していて情けない。 なんでこれはいいのにこれは良くないのか。社会で生きていれば必ず起きる事だ。……そうだな。僕は自分のためにお金を稼いでる。自分を守るために。 こういえば自分中心だとおもわれやすい。自分のため。こう思えば気が楽だ 結局動くのは自分。自分の人生は自分が動かしているのだから。 すると玄関からインターホンが鳴り響いた。 ピンポーン ?「蒼木 梨生さーん?りおくーん? いるー?」 玄関の外からは男性の声がする 僕は水で濡れた唇をタオルで拭くと、 真っ先に玄関の方へと向かった。 ドアを開けるとメガネをしていて、不恰好なヒゲをした男性がたっていた 「宮崎店長。お疲れ様です。」 宮崎店長。このラブホテルを経営しているものだ。よく働く者に対しては 物凄く慕ってくれる性格をもっており 僕より10歳年上でかなりの高身長だ。 そもそもこのラブホテルは元々廃墟になっており、水商売をするには不可能だった そこで宮崎店長は東京の都内で風俗店を営んでいたため、新宿区に移住し、新宿の廃墟を新たに改装し、いまに至る。 宮崎店長はジャケットから分厚い封筒を僕に渡すとニッコリと微笑みかけた 「いやー!!りおくん朝の7時から 身体張ってくれたからさー!今日より倍に多めにしといたよ! あ。いっとくけど、年末終わった後も 身体大丈夫?大丈夫だよね?君まだ若いもんね!アハハッ」 僕の日常は変わらない。多分これが幸せ…なんの不自由もない。だけど、店長の笑い声はいつになく心に刺さった。気づいたのは、店長は僕に期待している。 もしも、もしもだけど、今ここで店長の期待を裏切るようなことをしたら、 僕は、僕は、期待の渦から外されて お金が倍に少なくなるのかもしれない。もしかしたら、生きる場所がなくなるきっかけなのかもしれない。 僕が、僕が、僕が、ちゃんとしないと “. 僕は “” 僕は下を向き拳をぎゅっと握りしめながらも、店長に笑顔をみせた 「……大丈夫ですよ!店長のゆうとおり、僕もまだ若いので十分身体もちます!だから明日もお願いします!」 店長は僕の根気を目にしてますます笑顔になった。 「君ならそういってくれると思った! 朝からまたお願いね。じゃ君もう帰っていいよ。きみの指名がはいってる人沢山いるから明日のためにゆっくり休ませといて」 店長の言葉ひとつひとつが僕の心臓をえぐりとった。僕はゆっくりと玄関を閉めた。店長の足音が徐々に遠ざかっていくことを感じながら僕は疲れとともに一気に力をぬいた…部屋にはゴミとタバコ、食べ物のしょっぱいにおいで充満され、相変わらず部屋だけは変わらない。これを僕は全部片付けなければならない。玄関から見える窓の外をみつめぼーっとしていた。 体を売りつづけたのは僕がした選択だ。僕が身の内に起こることや、認めてくれない人、見てくれない人を恐れるのを想定した選択だった。 いつこんなにも恐れるようになったのだろう。いつから傷つく事を恐れるようになったのか、いつから恐ろしい考え方をしてしまったのだろう。 いつから、僕は… 考えれば考えるほど自分が嫌になってくる。だれか僕の心を油を取ってくれないだろうか。誰かに認められたかった自分は心の中で何度も問い続けたことがある。 お前は誰のために存在しているのか お金のためなら僕は僕のために存在している。今はこの解答しか思い浮かばない。頭が痛くなった、本音をいうと 本当に疲れているのだ。だけど、 考がえるのはよそう。 明日に備えて今日よりも優秀であるように。 僕は部屋のゴミ、食べ残し、衣類などを隅々まで片付けると、ハンガーにかけてあったジャンパーを着てホテルを出た。 部屋に残っていて一番落ちなかった 汚れはベッドに染み付いた欲望だけだった。 続く 更新日未定
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