第三話 黒のヒーロー

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同日午後、ガーディアン関東支部会議室。 「本日はお集まりいただきありがとうございます」 集まった幹部たちに感謝の意を述べる御法川。今日の会議は予定にあったものではなく、ある事情で急遽行われる緊急会議だ。 「今回の議題は、各地で出没しているこの機体についてです」 御法川は早速モニターに一枚の写真を映し出す。そこに映っていたのは、先日中東に現れた黒いヒロイックロボだった。 「これはどう見てもヒロイックロボではないか!」 今回の議題はその黒いヒロイックロボの対策である。既にこの機体は紛争介入以外にもいくつかのアクションを起こしており、ここ数日の活動の活発化により現場指揮官である御法川の判断で緊急会議が開かれたのだ。 「ヒロイックロボが不法な紛争介入を行ったとなればこれは責任問題になるぞ!」 「誰が、どう責任を取るというのだね」 「やはりここは現場の指揮を執っている総司令殿か……」 「そもそもが君の差し金ではないのかね?」 だがヒロイックロボがガーディアンの戦争不参加という条約を違反して不法に紛争に介入しているという事態に、幹部たちから発せられる言葉は責任、責任、責任。 「責任のなすり付け合いをしに集めたのではない!!」 問題を棚上げにして責任の押し付け合いに走る彼らの有様に見かねて激怒する御法川。その真剣な眼差しに、幹部たちは一瞬の狼狽えを見せる。 「今重要なのは、不法に各地で怪獣や武装組織、また稀にだがガーディアンにまで牙を向けるこの謎の機体にどう対応するかだ!」 黒い機体の責任を誰に押し付けるか。そんな話で終わるのならば、わざわざ幹部たちをここに集めた意味が無い。御法川はその対策を決める為に、この緊急会議を開いたのだから。 「テロ組織にヒロイックロボの技術が漏洩したとなれば、これは君の責任だぞ!」 「そうだ!現場監督は君だろう!」 「っ……!」 だが引き気味になったのも束の間、今度は皆一斉に御法川に責任を押し付けようとする始末。 (少年たち……。やはり君たちがいなければこの組織は……!) まさに正義の味方の在り方とはかけ離れた伏魔殿。御法川は再びその光景を目の当たりにし、革命の意志を固めるのだった。 「な、なんだ!?」 「停電……?」 直後、モニターがぷつりと消え会議室から光が消えた。
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