第五話 紅の砲鬼

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『SYAAAAAA!』 「クソッ!一撃一撃は防げるが、この弾幕じゃ近づけない!」 一方、無敵の強さを誇ると思われたファルガノンは意外にもスプラッシャーに苦戦していた。 確かにダメージは軽微だが、視界を潰す無数の光線はファルガノンの進撃を阻み続けていた。 「こうなったら……!」 このままではジリジリと追い詰められてしまう。状況を打開するべく、ファルガノンは一旦攻撃を中断しスプラッシャーの前から退いた。 「こっちだ!ついて来い!」 八木の狙い通り、その後をついてくるスプラッシャー。追ってくることを確認しながら、ファルガノンが斜面を降りた先。 「いつまでも少年たちにばかり任せている訳にもいかないのでな!」 そこは、人気も建物もない広々とした治水緑地だった。 「一気に決めさせてもらう!」 『SYAA!?』 誘い込まれた事に気付いたスプラッシャーは慌てて斜面の上に上がろうとする。だがそれも八木の狙い通り。 「そらそらそらァ!」 ライフルカノンを無造作に放ち、敵を斜面の上へとさらに追い立てていく。 そしてファルガノンの背中のキャノン砲が前に倒れて肩に固定され、スプラッシャーの背中を捉えた。 「これでトドメだ!」 コクピット内にスコープとトリガーが現れ、八木が照準を定める。 「ツインラスター!ビィィィィィムゥッ!!」 『SYAAAAAAAAAA!?!?』 直後、キャノン砲から凄まじい光が放たれ斜面を登りスプラッシャーを爆散させる。そしてその光線はそのまま天へと突き抜け、やがて消えていった。 これがファルガノンの必殺技、ツインラスタービーム。ファルガンのラスタービームを連装式にしたもので、その威力はラスタービームの二倍。あまりの破壊力に街中での使用が制限された、最強の名に相応しい必殺技である。 「状況、終了!」 こうして新たなるヒロイックロボ、ファルガノンの活躍により街の平和はまた無事に守られたのだった。
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