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同日、某所。
「やはりこの程度の怪獣では対応できなくなっているか」
モニターに囲まれた薄暗い一室で、今回のファルガノンとスプラッシャーの戦いを見ている者がいた。
それだけではない。他のモニターにはカマギラーやウィズンやビリビラー、メラドガンなど様々なロボット怪獣の戦闘データが映し出されていた。
「こちらが脱走した例の機体から送信されたデータになります」
そんな彼の元に一人の女が現れ、一本のUSBを手渡す。
「よい、下がれ」
「はい」
それを受け取ると男は女を退がらせ、USBをコンピューターにはめ込みその中のファイルを開いた。
「彼女とファルブラックの同調率が予定通り上昇しているか……」
そこに映し出されたのは、ファルブラックと裸の少女のCGモデル。そして、その双方の同調率を示すパーセンテージのグラフだった。
「いくら我々の手から逃れようとしても、決してあの娘は逃れられない……」
男は、そのデータに満足するとワインをくゆらせながらフレームに収まった少女の写真を、敵意と慈愛が入り交じったような目で眺める。
「魔王復活の日は近い。その日が訪れた時、人類は再び恐怖の渦に呑まれることになるだろう!」
そして彼は、自身の野望の成就を確信しながら不敵な笑みを浮かべるのだった。
夜の暗闇の中、少女は佇む。どこか遠い街か星か、はたまたそれよりも遠い場所を眺めながら。
「っ……!」
突然少女は頭痛に襲われ、その場にうずくまった。
「急がないと……」
悟る。自身に残された時間が、限りなく少ないという事を。
「早く会わなきゃ……。私を……殺してくれる人に……」
そして少女は自らの意思で歩き出した。自らが望んだ、処刑台への階段を。
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