第七話 究極の力

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「もってくれファルガン!これが最後の仕事だ!」 鳴り響く警報。 溢れ出るような警告表示。 それらがファルガンの限界を五月蝿く伝えるも、ソウタは一歩も下がらない。ゼットラゴンを討ち、皆の元へ帰る為にも。 「ライフルカノン!」 『ZEGYAAAA!』 燃え盛る地下13階に降り立った瞬間、ラスタービームを置いてライフルカノンを構え引き金を引く。 当然ダメージは通らないがそれでも撃ち続けながら、炸裂ナイフを手に突撃する。 「何が人類が堕落しているだ!」 そして首の関節にナイフを突き立て爆破。傷口にライフルの銃口を突き入れ、何度も繰り返し引き金を引いた。 「一緒に戦ってくれるカズマとフウカも!ガーディアンの先輩たちも!いつも不安に耐えながら俺を待っていてくれるマドカも!」 ズドン、ズドンと銃声が響く中ソウタは思い起こす。 時に友達として、時に戦友として共に過ごしてきた二人を。 正義のあり方の一つを教えてくれたガーディアンの先輩たちを。 危険とわかっていながら自分の事を待っていてくれる妹のマドカを。 「自分を犠牲にこの世界を守ろうとしたクオンも!」 そして、呪いをその身に宿し絶望の底にいながらも正義の味方であろうとしたクオンを。 「お前たちの言うように堕落なんかしちゃいないッ!!」 ヒーローとして戦い始めてから、幾つもの出会いがあった。その中の誰一人として、黒曜旅団の言うように堕落した人間などいなかった。 『ZEGYAAAA!!』 もがき苦しむように絶叫を上げながら、ゼットラゴンはファルガンを振り払う。 「うわぁぁぁぁっ!!」 壁に叩きつけられたファルガンはその場に倒れ込み、コクピットは更に警告表示に囲まれた。 「死ぬのか、俺は……」 頭から血を流し、ぼんやりとした意識の中視界にはビーム砲を展開しようとするゼットラゴンの姿が映る。 その時、ソウタは一瞬死を覚悟する。 「いや、まだだ……!」 だが倒れたファルガンの傍には、先程置いたラスタービームがあった。 「俺はまだ、何も救えちゃいない……!」 まだ諦めるには早い。ラスタービームを手に、大切なものを守る為再びファルガンは立ち上がる。 「ラスター………」 狙うは敵の頭。残った全てのエネルギーをラスタービームへと込める。そして……。 『AAAAAAAA!!!!』 「ビィィィィィィィィィムッ!!!!」 燃え盛る炎の中、二つの光線が激突した。 一方その頃、ガーディアンの職員たちはGキャリアーと並走する複数台のバスに別れて、ガーディアン支部を脱出し街へと向かっていた。 「ソウタ……大丈夫かな」 「あいつの事だからそう簡単にくたばりゃしねぇよ」 Gキャリアーを運転しながら、カズマとフウカの二人はそんな会話を交わす。 「嘘……」 「何があった!」 そんな中、パソコンで基地内の状況をモニターしていたオペレーターの一人が突然パソコンを落として呟き、御法川は状況を問う。そして伝えられた報せは……。 「ファルガンの信号、途絶しました……」
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