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今、僕は
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あの初々しい金の記憶の出会いから、5年の月日が流れていた。
近頃の僕はアルバイトをしながら小さな劇団の制作スタッフとして毎日を過ごしていた。
香奈も僕と同じようにアルバイトをしながら自分の立体を造っていたが、昨年、日本の彫刻のビエンナーレで香奈の作品が注目され、少しづつではあったが作品でお金をいただけるようになってきていた。
僕らはそれぞれの時間を忙しく過ごしていた。いつも一緒にいた学生時代を懐かしく思い出すこともなく、プロの厳しさを求められる現場に身を投じていた。
いつの間にか、わざわざ会う意味が見出せなくなっていた。
その日、香奈からLINEが来た。
__今度 会える日 教えて。
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