ヘルメスの泉

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 水面が揺れているのに気がついたということは、ここは真っ暗ではない。どこかに光源(こうげん)があると気づいた。 光源はそうか、これは人か……。 「我が名はヘルメス。あなたは今、つまずいた拍子に記憶を(これ)に落としました。私が拾ってきてあげましょう」 眩しい光を纏ったヘルメスの姿はよく見えない。けれど、光輝くヘルメスに照らされて、鏡のような水面には僕が映し出されていた。    ヘルメスは、僕が水の中に落っことしてしまった記憶を、わざわざ取ってきてくれるらしい。   
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