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また時計が止まってる。
お父さんが電池を変えたのは昨日の夜。でも、どんなに電池を変えても、時計は半日足らずで止まってしまう。
壊れてる訳じゃないの。原因は…お母さん。
私のいた時間がこれ以上流れてしまわないように。その気持ちが、家の時計を止めてしまう。
ごめんね。事故になんか遭って。
ごめんね。親より先に死んでしまって。
いっぱいいっぱい謝るけれど、私、もうそこには戻れない。
だから時間を止めないで。私のいない時間をきちんと生きて。
…時計、動き出したね。ようやく判ってくれたのかな。
私、やっとここから旅立てる。
お母さんもお父さんも、どうかこの先元気に過ごして。もう、悲しくても時間は止めないでね。
止まる時計…完
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