雀夜

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「ふ、あぁっ……。最高、すげえ気持ちいいっ……!」  俺は仰向けになったまま背中を仰け反らせて腰を浮かせ、更に自分から雀夜の口の中へ侵入しようとした。剃毛しているせいで、ダイレクトに雀夜の唾液と俺の体液が混じり合い、濡れているのが分かる。たまらなかった。 「雀夜ぁっ……。もっとして、もっと……」 「……もっと、なんだよ」 「もっとエロい音立てて、濡らして……。気持ちよくして……」 「注文の多い奴だな。一応、俺が金払ってんだぞ」  そう言いながらも、雀夜は俺のそれを勢いよく吸い上げ、更に激しく舌を巻き付かせながら卑猥な音を立ててくれた。 「あっ、いい……。気持ちぃっ、あ、やぁっ……」  俺は腰を浮かせたまま雀夜の髪を掴んで、喘ぎ悶えた。涙で視界が霞んでくる。涎も垂れ流し状態で、少し気を抜いたら今にも意識が途切れそうだ。 「雀夜ぁ……あっ、嫌っ……。そんなにしたらっ……!」  カリ首のところをリズミカルに吸われて、内股が痙攣した。雀夜の舌先が先端の尿道口をこじ開けるようにグリグリと押し付けられる。 「やあぁっ、い、イくっ……」 「………」  突然、雀夜が動きを止めた。それどころか俺のそれを口から抜き、体まで起こしている。 「な、なに……? なんで止めるの……?」  俺は限界寸前まで熱くされた自分のそれと雀夜の顔を、潤んだ目で交互に見つめた。 「この店は、客より先にイくように教育してんのか?」 「あっ……」 「お前はプロ意識の欠片もねえ、三流以下の売り専だな」 「………!」  ショックだった。怒りよりも悔しさよりも、ただひたすらショックだった。  雀夜の言う通り、金を払った客にサービスするのが俺の仕事なのだ。AVのスカウトという相手の目的、雀夜レベルの男とセックスできるという優越感。そればかりを気にしていて仕事を忘れ、自分の欲ばかりを優先し……あろうことか俺はまだ、雀夜の服を一枚たりとも脱がしていない。 「あ……、俺……」  雀夜の冷ややかな視線。今聞いたばかりの言葉が再び耳の奥で渦を巻く。  三流以下。  ナンバーワンの俺が、三流以下の売り専。プロ意識の欠片もない……。  恥ずかしさと己に対する怒りで声が震えた。 「あの……ごめんなさい……。確かに、お客様の言う通りです……すみませんでした」  滅多に使わない謝罪の言葉を口にしながら、俺は不安げな顔で雀夜に訊ねた。 「チェンジしますか……?」 「……ここまでやっといて、できんのかよ?」 「え、と……プレイ中のチェンジは原則として駄目なんですが、今回は僕のせいなので、僕から店に説明すればキャンセル料無しでのチェンジも可能になると思いますけど……」  すっかり気弱になってしまった俺は、ここ最近は思い出すことすらしていなかった店のマニュアルを記憶の片隅から引っ張り出し、たどたどしい口調で雀夜に説明した。  ナンバーワンのこの俺が、キャンセル料無しのチェンジだなんて……。  唇を噛みしめて俯くと、ふいに雀夜が笑いだした。
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