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まだ俺等が中学生だった頃……確か部活の帰り道だったと思う。
「翔馬、推薦結構来てんだろ、どこ本命?」
「練習とか見学に行ったけど、習志野か東海大市原望洋かな。本当は早稲田実業か花咲徳栄に行きたかったけどやっぱ地元つぅか……そう言う山ピーは?」
「俺は頑張って東海市原、って感じ。落ちたら他はねぇし笑えない」
「なら俺もそこ第1にする」
「アホなのか?大事な事を俺基準にすんな、お前は頂点狙えよ」
「俺は山ピーと頂点狙いてぇし!」
「っ……お前何嬉しい事言ってんだよ」
「あははは 山ピー変な顔になってるぞ。な、一緒上がってくべ!」
あの時見せた翔馬の笑顔があまりにも眩しくて、思わずハグした時に感じた感触がきっかけだった気がする。触れた先、何とも言えない幸福感と良くわからない独占欲に破壊欲求。
小学のリトルリーグから一緒だった翔馬の性格は熟知してたつもりだが、翔馬が居ると毎日が鮮やかで、何かソワソワして。自分の短所は短気で自己中な所だと思ってたけれど、翔馬の言葉なら、それが指摘であってもすんなり俺の気持ちに浸透して、俺の世界観や視野を広げてくれた。翔馬の色んな表情をもっと見たくて誰も見せない様な所も独占したくて常に側にいた。そして 翔馬も俺を慕ってくれた。恋愛経験は少なかったけど翔馬に対する気持ち、コレは友情とか戦友を逸脱してるとわかってた。わかって側に居たから、翔馬に慕われるのは嬉しい反面、後ろめたさも……
ちらっと目を開けて翔馬を見ると、まだ眠っている様だった。
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