二度目のお宅訪問は一度目よりどきどき

6/6
3714人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
「すみません、嬉しすぎて舞い上がりました」 そう言って、智之さんは私から腕を離す。正直、最後まで行っちゃってもいい、と思ってた私は、肩透かしを食った気分。 甘く蕩けるムードは、一瞬にして霧消した。 「今日は帰った方がいいですか?」 「その方が良くないですか? 明日も仕事ですよね」 「はい」 智之さんの言う通り。そもそもお泊りグッズも着替えも何も持って来てないし、 明日も普通に仕事はある。冷静に考えれば、今日は一旦帰った方がいいのは、明白。 きっと、智之さんも、私に気を遣ってくれたのだと、わかってる――わかってるのに、寂しいと思う自分もいる。 「また連絡しますね」 「はい。智之さん。最高の誕生日プレゼント、ありがとうございます」 幸せな気持ちで、私は智之さんの部屋を後にした。けど、私はまだ気づいてなかった。 智之さんには、まだ私の知らない部分がいっぱいあるってこと――
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!