3714人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
「すみません、嬉しすぎて舞い上がりました」
そう言って、智之さんは私から腕を離す。正直、最後まで行っちゃってもいい、と思ってた私は、肩透かしを食った気分。
甘く蕩けるムードは、一瞬にして霧消した。
「今日は帰った方がいいですか?」
「その方が良くないですか? 明日も仕事ですよね」
「はい」
智之さんの言う通り。そもそもお泊りグッズも着替えも何も持って来てないし、
明日も普通に仕事はある。冷静に考えれば、今日は一旦帰った方がいいのは、明白。
きっと、智之さんも、私に気を遣ってくれたのだと、わかってる――わかってるのに、寂しいと思う自分もいる。
「また連絡しますね」
「はい。智之さん。最高の誕生日プレゼント、ありがとうございます」
幸せな気持ちで、私は智之さんの部屋を後にした。けど、私はまだ気づいてなかった。
智之さんには、まだ私の知らない部分がいっぱいあるってこと――
最初のコメントを投稿しよう!