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熱い呼吸がかかったと思ったら、着ていたワンピースの生地をずらされ、そのまま素肌にくちづけられた。
痕が残ったんじゃないかと思うくらい、強く吸われてから、後ろを向かされてキスされる。
まだテレビでは、観てた映画が流れてる。テレビから「Dad!」って叫びが聞こえたけれど、画面も内容ももう、頭に入って来ない。
「ここじゃ、やっぱりだめですね」
一旦私から離れて、リモコンを操作して、画面をオフにしてから、智之さんは私の身体をソファから、抱き上げた。
「きゃ…っ」
気が付いたら、智之さんの腕が、私の背中と膝裏に回されてる。いわゆるお姫様抱っこで、智之さんは奥の部屋に入っていった。
ベッドに優しく私の身体を横たえて、智之さんは、私の身体の両脇に手をついた。
「今ならまだやめられます」
ここで確認するの、すごく智之さんらしいな。智之さんが何かに遠慮してるのはわかる。客と店員という立場なのか、10という年齢差なのか。でも、もうそういうの気にするのやめてほしかった。
下から腕を伸ばして、智之さんの首に絡みつけた。
「やめるなんて言わないで、抱いてください」
彼の躊躇いの本当の理由も知らないで、私はそう言った。真上にある智之さんの顔が少し歪む。微笑んだのか、泣きそうだったのか、ちょっと判断しかねる顔だった。
「好きです、咲良さん」
大好きな甘い声と一緒に、深いキスが降りて来た。智之さんの触れ方は優しいのに、私の身体は簡単に火を付けられて、熱くなる。
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