side :Kanata

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side :Kanata

──やべ、寝落ちしてた。 はっと顔をあげたら、教室はすっかり夕暮れの薄暗いオレンジに染まっていた。夜じゃなくてよかった。 のんきに欠伸しながらそんなことを思ったあと、そうだ日誌、とようやく思い出して、手元に目を落とす。 あれ、全部書いてある。どうやら最後の一行を書いて力尽きたらしい。俺、えらいじゃん。提出してないけど。 だんだん目が覚めてきて、そしたら、思いのほか冷たい空気に体がぶるっと震えた。春って日中はあったかいけど、夕方から意外と寒い。 とりあえずションベン行こ。 俺は席を立って、教室を出た。人気のない廊下をのんびり歩いて、便所に入る。教室よりひんやりしてて、またぶるっと身震い。 そういや日誌、早く出さないとセンセイ泣いちゃうかな。 担任の眉の下がった困り顔を思い出して、ちょっと笑った。 担任のみくセンセイは、真面目で気の弱そうな地味メガネだ。たぶんあれ処女だなー、とかどうでもいい思考が、尿と一緒にジョボジョボと流れていく。
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