side :Kanata

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side :Kanata

「…………ます。つまり、28行めで主人公が鼻持ちならないと感じたのは、その前の16行め、17行めの……」 めちゃくちゃ眠い。腹いっぱいで受ける5時間目は格別に眠くて、勝手に意識がまどろんでく。 「……じゃあ……行めの『それ』が……いるものを……くん」 みくセンセイのやわらかい声は究極の子守歌。窓ぎわいちばん後ろの席は、午後のぽかぽかな日差しがちょうどよすぎる。 「……くん、……まくん?」 あーだめ、落ちそう。 「こら! 寺島くん!」 俺を呼ぶ声にやっと気づいて顔をあげれば、みくセンセイが怒ったような拗ねたような表情で見下ろしていた。 「あ、センセ。おはよー」 「おはようじゃありません! 授業中に居眠りしちゃダメっていつも言ってるでしょう」 口調は怒ってるのに、眼鏡の奥の瞳は困ったように揺れている。もしかして、わたしの授業つまんないのかなあとか思ってる? 大丈夫、誰のどんな授業もつまんないから。そういえば、こないだコンタクトにしなよって言ったのに、あれからも相変わらず眼鏡だな。可愛いのにもったいない。
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