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「だって寝不足なんだもん」
「寝不足? 夜更かししたの? 早く寝なきゃダメでしょう」
「最近眠れないの。センセイ、一緒に寝てくれる?」
俺が言ったら、女子からキャーって黄色い悲鳴があがった。男どもは「先生逃げろー!ヤラれるぞー」なんて煽ってる。
センセイはゆでダコみたいに真っ赤。添い寝って意味なのに、ナニ想像してんの、やらしー。
「……せ、先生をからかうのはやめなさい!とにかく居眠りは、ダメです!」
顔赤いまま、わざとらしく眼鏡のフレームを直す。もしかして、キリッとしたつもり? なにそれ、めちゃくちゃ可愛い。やっぱなんかソソる。
逃げるように教壇へ戻るみくセンセイ。春なのに秋みたいな地味過ぎる後ろ姿は、細くて小さい。抱きしめたら折れちゃいそ、なんてぼんやり思う。
あ、今度2人っきりになったら、後ろからぎゅってしてみよっかな。いや、さすがに叫ばれちゃうか。
こないだの放課後以来、センセイのこと、からかいたくて仕方ない。でもぜんぜん機会ない。つまんねー。あのウブな反応、もっかい見たいのに。
「次のページ、2行めの台詞ですが……」
まあ、一生懸命センセイしてる姿も悪くない。みくセンセイはなんかいい。可愛い。
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