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「なんでそんな赤くなってんの?」
どうしてそんなに余裕があるんだろう。年下の高校生のくせに。わたしよりよほど色っぽい笑みをうかべている。悔しくて必死に抵抗する。
「赤くなんか、あり、ありませんから!」
どもりまくるわたしを、目を細めて楽しそうにみつめている。
「かわいー。ねえ、それってわざと誘ってんの?」
脳が痺れそうなほど甘い声。彼の手が、わたしの頬に伸びる。
触れられた瞬間、首から背中にかけて電気みたいな衝撃が走り抜け、びくりと震えてしまう。苦しいのに、どこか甘美な衝撃。
それでも残りわずかな自制心をかき集めて口をひらく。
「て、寺島くん……やめ、やめなさい! ひ、ひとを呼びますよ?」
唇が震えて、蚊の鳴くような情けない声しかでない。彼にとってそれは抵抗にすらなっていないのは一目瞭然だった。
ゆっくりと触手をのばして、蜜をすいとるチョウみたいに、わたしにむかって余裕たっぷりに微笑みかけてくる。
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