150人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺、眼鏡ないほうが好み」
「てら、し……」
「うん。しゃべらなくていいから。俺のいうことだけ聞いて?」
彼の綺麗な顔がゆっくりと近づいてくる。瞬きをすることも忘れ、みつめることしかできない。
唇と唇が触れる直前、ぎゅっと目を閉じたけれど、何も起きなかった。
恐る恐る目を開けると、あまりみせたことのない真剣な瞳がわたしをじっとみつめていた。
普段はチャラチャラしているくせに、どうしてそんな目をして、わたしをみつめるの?
彼は眉をよせ、どこか苦しげにさえみえる表情をしたまま、熱を孕んだ声で囁いた。
「みくセンセ、俺のこと、好きになろ?」
その声は鼓膜を震わせたあと、ゆっくりと体の内側へと流れだしていく。
まるで媚薬みたい。わたしを激しくゆさぶり、理性を溶かしてしまう。
ねえ、寺島くん。
とんでもない女たらしで、問題児。しかもわたしが担任をしているクラスの生徒であるあなたを、本気で好きになってしまったわたしはどうすればいいの?
最初のコメントを投稿しよう!