side:Miku

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「俺、眼鏡ないほうが好み」 「てら、し……」 「うん。しゃべらなくていいから。俺のいうことだけ聞いて?」 彼の綺麗な顔がゆっくりと近づいてくる。瞬きをすることも忘れ、みつめることしかできない。 唇と唇が触れる直前、ぎゅっと目を閉じたけれど、何も起きなかった。 恐る恐る目を開けると、あまりみせたことのない真剣な瞳がわたしをじっとみつめていた。 普段はチャラチャラしているくせに、どうしてそんな目をして、わたしをみつめるの? 彼は眉をよせ、どこか苦しげにさえみえる表情をしたまま、熱を孕んだ声で囁いた。 「みくセンセ、俺のこと、好きになろ?」 その声は鼓膜を震わせたあと、ゆっくりと体の内側へと流れだしていく。 まるで媚薬みたい。わたしを激しくゆさぶり、理性を溶かしてしまう。 ねえ、寺島くん。 とんでもない女たらしで、問題児。しかもわたしが担任をしているクラスの生徒であるあなたを、本気で好きになってしまったわたしはどうすればいいの?
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