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side :Miku
職員室から教室まで、できるだけゆっくり歩く。ホームルームの予鈴が鳴るまでにはまだ早いのに。じっとしていられなくて、職員室を出てしまった。
さっきもいったのに、もう一度、トイレに立ち寄って鏡をみてしまう。
今日はコンタクト。学校に眼鏡をかけてこなかったのはこれが初めて。
幼くみえてしまうから、先生としての威厳を少しでも出すために、メガネは必須アイテムだと思っていたのに。
寺島君が、眼鏡をしていないほうがかわいいっていってくれたから。
バカみたいだと思う。担任をしている生徒、しかもあの寺島くんが言ったことを真に受けて、眼鏡を外して、コンタクトにしてくるなんて。
それでも。昨夜の事が頭から離れない。
いきなり抱きしめられたあのとき。心臓が止まるかと思った。
どうして抱きしめるのって聞いたら、ぼそりと呟かれた言葉。
『そんなの、俺が聞きてーよ……』
どこか苦しそうな声。それなのに、その言葉が鼓膜を揺らした瞬間、甘く溶けてずっと頭の中で響いてる。
あれはどういう意味? 教師である私が、その理由を知りたいって思ってもいいの?
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