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「……でね…………だったの」
あー、まじタイクツ。早希ちゃんが連休中に家族とどっか(どこ?)行った話とかどうでもいい。さっさと口説きたいけど、いかんせん、彼女のお喋りが止まらない。萎える。
大してうまくもない焼きそばパンをかじりながら、話半分で相槌を打つ。
…………あ。
なんの気なしに視線をやった渡り廊下に、みくちゃんの姿を発見した。立ち止まって、なぜかこっちを見ている。
途端に、イライラが頂点に達した。
……なんなの? 相変わらずチャラいね、とか思ってんの? うん、ごめんね。チャラいよ。
でも、わざわざコンタクトにして、男に可愛いとか言われて喜んでるみくちゃんも、どうかと思うよ。
あ、それとも俺にも言われたい? 言ってやんねーし。だって、ムカつく。それで他の男に見せたのと同じ反応されたら、まじでムカつく。
つーか、なんで見てんの? もしかして、早希ちゃんとイチャつくとこでも見たいの?
……バカじゃないの。
「……それでね…────んんっっ」
休む間もなく動いてる早希ちゃんの唇を、強引に塞いだ。
バサバサッ!
そんな音に、キスしながら横目で渡り廊下を見れば、教科書だのなんだの全部落としてて。反応ウブすぎるだろ、って吹きそうになったのに。
──みくちゃんが、泣いた。
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