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シルバーを並べ終え、今度は謎のランタンみたいな照明を各テーブルに置いていく。ステンドグラスみたいなガラス箱の中の豆電球は充電式で、毎日ひとつひとつ取り替えなきゃいけない。もうちょい便利にならないのか。
けど、毎日クラス全員分の……いや、受け持っているクラス全員分のプリントやらなにやらをチェックするみくの方が、よっぽど大変だ。トロそうだし、きっと毎日遅くまでやっているんだろう。あんな小さな体で、無理して倒れちゃわないか心配。
……ダメだ、気づいたらまたみくのこと考えてる。だからこの時間の手伝いは嫌なんだ。早く忙しくなってほしい。
本人の前でどんなに素っ気ない態度を取っても、心の中は1ミリも変化がない。いや、むしろ余計に考える時間が増えた。
会いたい。いや、毎日会ってるけど、そうじゃなくて。俺は、俺だけのみくが欲しい。そうじゃないみくなんていらない。
女の子達を振った時。初めて心が傷んだ。だって「好き」を拒絶されるのは辛い。こんなことも知らなかったなんて、どんだけガキだったんだろう。
こんなんじゃ相手にされなくて当然だよな、と自重的な笑みを漏らして、手元のランタンのスイッチを入れる。
逃げてるくせに。みくに会いたい、触れたい、声が聞きた……。
──プルルルルル。
しんとした店内に、電話の音が鳴り響いた。
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