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俺は今どんな顔をしているんだろう。笑ってる? それとも困ってる? 本当に、いろんな衝動を抑えるのに必死だ。
でも、決めたんだ。大切だから絶対に壊さない。未来までちゃんと繋げるために、みくの今を守るって。
ふう、と息をついて。俺はからかうような笑みを作った。
「……みくって国語のセンセイなのに、意外と言葉知らないんだね?」
「えっ?」
「そういう気持ち伝える言葉は、たった2文字でいいんだよ。はい、言ってみて?」
「……やだ、そんな改まってなんて、恥ずかしいよ」
みくが顔を真っ赤にした。この年上なはずの女性は、本当に、いつでもどこでも誰よりも可愛い。
「ホトトギスの方がよほど恥ずいけど?」
「えっ、そうなの!?」
「うそ。みくらしくて、めちゃくちゃ可愛い告白だった。ありがと」
そろそろ帰ろっか、と言って立ち上がった。みくは職員室に戻るだろうし、もちろん一緒に帰ることができないのもわかっている。卒業するまではきっと我慢で悶々の日々。
でも、それでもいいから一緒に未来を歩くって決めたんだ。この可愛いセンセイと。
「そうね」
と腰を上げたみくの額に、小さく触れるようなキスを落とす。
ま、これくらいはいいよね。スキンシップってことで。
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