side:Kanata

4/4
146人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ
俺は今どんな顔をしているんだろう。笑ってる? それとも困ってる? 本当に、いろんな衝動を抑えるのに必死だ。 でも、決めたんだ。大切だから絶対に壊さない。未来までちゃんと繋げるために、みくの今を守るって。 ふう、と息をついて。俺はからかうような笑みを作った。 「……みくって国語のセンセイなのに、意外と言葉知らないんだね?」 「えっ?」 「そういう気持ち伝える言葉は、たった2文字でいいんだよ。はい、言ってみて?」 「……やだ、そんな改まってなんて、恥ずかしいよ」 みくが顔を真っ赤にした。この年上なはずの女性(ヒト)は、本当に、いつでもどこでも誰よりも可愛い。 「ホトトギスの方がよほど恥ずいけど?」 「えっ、そうなの!?」 「うそ。みくらしくて、めちゃくちゃ可愛い告白だった。ありがと」 そろそろ帰ろっか、と言って立ち上がった。みくは職員室に戻るだろうし、もちろん一緒に帰ることができないのもわかっている。卒業するまではきっと我慢で悶々の日々。 でも、それでもいいから一緒に未来を歩くって決めたんだ。この可愛いセンセイと。 「そうね」 と腰を上げたみくの額に、小さく触れるようなキスを落とす。 ま、これくらいはいいよね。スキンシップってことで。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!