side :Miku

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side :Miku

「もう……嫌になっちゃう!」 教室までの廊下を歩きながら、ついつい独り言がこぼれ落ちてしまう。 放課後になっても日直さんが、日誌をもってこない。 天気がいい日で気持ち良かったです。なんて一行だけじゃなく、授業のことについても記入して、職員室まで持ってくるように毎日口酸っぱく言っているのに!  今度は大きなため息になってしまう。 教師2年目、23才。担任をしている高3になった生徒たちと年なんてあまりかわらないし、背も低くてベビーフェイス。 眼鏡をしてなんとか先生っぽくみせているけれど、貫禄なんて微塵もないのは、自分が一番よくわかっている。 やっぱりこんな子供みたいな先生の言うこと、なかなか聞いてくれないよね。 ドアの小窓から教室を覗きこむ。予想通り誰もいない。なんだか悲しくなる。 きっと日直日誌なんか放り出して帰ってしまったに違いない。 目頭がじわっと熱くなる。 ダメダメ、これくらいのことで泣いちゃうなんて。 ふう、とひとつ吐息をついて、心をおちつかせてから、教室のドアをあけた。
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