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シーン59
彩芽はこじんまりした1LDKのアパートの居間の棚に置かれた三つの遺影に手を合わせていた。
ーーパパ、ママ、フミ…ただいま帰りました。
ーー待ってて…あと少しだから…
いつもの家族への報告を済ませると冷蔵庫から好物のサラミとビールを取り出し居間のガラスのテーブルに無造作に置いた。
テレビをつけ、ビールの缶を開け一口大きく飲み込むとタバコに火を点けた。
着替えることもせずソファに横になりロクが好きだったミスチルをかけながら眠る。
これまで10年間誰にも話さなかった自分の過去を話したことを、そして直接的には関係のない人を巻き込んでしまうことを後悔しているように見える。
ーーロク…
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