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シーン61
ホテルの一室に集まった男達。都内の高級ホテルのスイートの高級なソファーに深く腰を下ろした男達。ソファーの周りにはSPらしき男が三名警戒し、厚めのワインレッドのカーテンは完全に締め切られている。
元総理の桜庭源三、警察庁刑事部次長の三枝、民生党のニューリーダーと目される鮫島俊介とゼロのメンバー二人の計5名がワインを傾けていた。
「あの男が生きていたとは」
「ええ全くです」
「近々必ず奴も娘共々黙らせ、例の在り処を吐かせます」
「大丈夫なんだろうな」
「はい、準備万端整えておりますので」
「神童彩芽も殺るんですか?現警部補はまずくないですか、三枝さん」
「邪魔するなら仕方ない」
「娘を使って親父をおびき出すつもりだったが…奴が生きていることが分かった以上、あとは奴に吐かせる為の道具になってもらわんとな」
「後藤田もそろそろですか?」
「しかし現総理ですよ。それにあの爺さん、わざわざ手を下さなくてもそろそろでしょう」
「そんな露骨にはせんよ。なあ、三枝くん」
「もちろんです。そこは抜かりなく」
「だったらいいんですが。流石に現総理までとなったら我々の計画も吹っ飛びますし」
「それにしてもあの男、例の血清と研究者達、何処に隠しとるんかまだ分からんのか?三枝くん?」
「あれがなきゃゼロ(日本最小化)計画も頓挫してしまおうが」
「分かっております、ゼロに全力で探らせております」
奴らが企む日本最小化計画とは、豚にしか感染しない致死率90パーセント以上の『サモネ吸血菌』という化け物のような細菌を人型感染菌に変化させ、日本中にばら撒き自分達の思いのままになる人間以外を処分しようという悪魔的計画のこと。
その血清を持つ自分達が支配者になる計画だった。それを10年前に嗅ぎつけた彩芽の父親が仲間数人と共謀し、研究者もろとも何処かに拉致したのである。
その何処かとはもちろん『犬鳴村』。
表向きの『日本最小化』の手段だった『国家機密情報保護法』が廃案にされたことで少なからず焦っていたのは事実だった。
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