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シーン50
車中の三枝にかかってきた一本の非通知の電話。
「三枝、久しぶりだな」
「お前…」
「生きてたのか」
「10年前のあの日…殺されかけたけどな。この10年、俺を嵌めた奴を探し出して復讐する為だけに生きてきたよ」
「まさか…それがお前だったなんてな。思いもしなかった」
「親友だと思っていた人間に裏切られて、全てを奪われ殺されそうになった人間の気持ち…」
「お前にわかるか?」
「死のうと何度も思った」
「それでも死ねなかった」
「何言ってる。夢でも見てるんじゃないのか?俺がお前を?」
「お前以外の誰があんなことする?ありもしないことを週刊誌にばら撒いて俺を引き摺り下ろし、娘も嫁も、家族も名誉も警察官としての誇りも…全てを俺から奪った。忘れたなんて言うなよ」
「何のことだ?夢でも見てるんじゃないのか?」
「まあいい。そんなこと10年も前のこと問題じゃないからな」
「後藤田…」
「次の的は奴か?」
「何言ってる。なわけないだろ。現総理だぞ」
「嘘つくな」
「お前が作ろうとしている国に一番邪魔なのは後藤田だからな。閣僚の中でただ一人、お前達がばらまいている金になびかないのは頑固者のじいさんの後藤田だけ」
「SPはお前の言いなりなんだから、例えそれが総理大臣であったとしても消すことくらい容易いことだろ」
「いいか…俺が邪魔で…俺を消したいんなら富士の樹海の入り口にある、あの因縁の山小屋に来い。俺にお前の野望を邪魔されたくなかったら、今から来い」
「今からか?」
「そうだ」
「分かった。2時間後に行く」
「必ず来いよ」
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