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「その部室のドアを開けたすぐ先の椅子に一人座っていたのがロクだった」
ーーこんにちは。
ーー1年?
ーーはい…。
ーー俺も?
「大人びていたからてっきり先輩かと思った」
ーー女で空手同好会?可愛い顔して。
ーーそれ、セクハラ!
ーーアタシ、神童彩芽、法学部1年
「アタシが自己紹介するとロクは応えることなく部屋を出ようとした。どこか虚ろな目をして」
「初めて会った時から全身にどこか暗い陰があった」
「女は陰のある男に弱いもんね」
ーーそっちは?
ーーあ、俺?六田カケル。法学部1年。
ーータメなんだ。
ーーそうみたい。
「それから授業でもサークルでも一緒にいることが多くなって…いつの間にか好きになってて…付き合うようになった」
ーーロク、今度の休みどこか行かない?
ーー富士までツーリングどう?
ーーいいね。
「二人とも大型免許持ってたから休みの日にはよく二人でツーリングに行ってた」
「あの頃はホント楽しくて…まだよく笑ってた。ロクもアタシの笑顔を好きって言ってくれてた」
「まだアイスドールなんかじゃなく…普通にどこにでもいる女の子だった。今じゃ誰も想像できないほど」
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