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「不思議でしょ?今のアタシからは想像もできないもんね」
そうどこか吐き出すように言った彩芽の言葉をタスクもただ下を向いてじっと聞いていた。
「大学4年になった時、プロポーズされた」
サークル終わりにいつものように一緒に帰ってた。今日もいつも寄る喫茶店に行くものだと思ってるとその日は駅の手前にある公園に入って行ったロク。
そしてベンチに座って…それでも何を話すわけでもなかった。
ーーー初めて見る顔。
ーーー緊張で強張った顔。
陽がすでに落ち暗くなってもただ座っていた。「ねえ」ってアタシが言いかけた時、突然抱きしめられ初めてキスされた。
ーー彩芽…
ーーん?
ーーどうしたの?
ーー卒業したら俺、検事目指す。被害に遭った人の悲しみ、辛さを癒せるかなんて分かんないけど…
ーーその人たちのために何かを…俺にできることしたいんだ。
「ロクは1年の時から検事になることを目指してた。そしてアタシは父親のような刑事になりたかった。そして刑事にはなった」
ーーん…分かってる。
ーー検事になれたらさ…俺と結婚してくれないか?これ…。
そう言ってアタシの左手をとり、薬指に指輪をはめてくれた。
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