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「その相手が暴走族上がりのまだ若かった月島順次、次長の息子」
神童班のみんなは彩芽の過去を知らされ言葉もなく耳を傾けていた。
「唯一の家族だった空くんを殺された、弟想いのロクにとって…あの日から月島に、そして不条理に殺された人に代わって野放しにされた悪人達に復讐することがロクの人生の全てになった」
ーーわりい…彩芽。あんな人種を許すことはできないんだ。彩芽のことはホントに好きだよ。
ーーでも…ごめん。
そう言ってバイクに飛び乗るとそのままどこかへ消えた。
「それが正しいなんて思ってもいない。間違ってるってことは分かってる。でも…この感情は理屈なんかじゃない。大切な人を殺された人間にしか分からない」
「そして事件から三週間後、最後にロクから来たメールがこれ」
ーー彩芽…ごめん。俺、あんな奴らを許せない。
ーーだから…これから俺は犬鳴村に行く。
ーーもうお前には会えないだろうから…言っておく。
ーーお前だけを愛していたよ。立派な刑事になれよ。
「直ぐに電話しても繋がることはなかった。その日から全国の犬鳴村に似た場所は全部探して回った」
「福岡の犬鳴トンネルにも。でもどこにもロクはいなかった」
「ロクがいなくなって三ヶ月後、週刊誌に父親の不倫そして殺人の罪を着せられた記事が出て、父親は家に帰ってこれなくなり、それからすぐ両親が離婚して母親と妹が家を出て行った」
「お父さんがあんなことするはずはない…」
ーーお姉ちゃん…元気でね。
ーーフミもね
ーー彩芽…お父さんを頼むから。ごめんね、こんなお母さんで…
ーーお母さんが悪いんじゃないから
「それから追い討ちをかけるような事件が起こった」
「母親と妹が出て行った翌月、その頃フミが付き合っていた彼氏に彼氏とのエッチな動画や画像をインターネットで拡散され学校で妹が酷いイジメにあった」
ーーおい、見たか?神童のアレ。
ーー見た見た。結構すげーよな。あんな大人しそうな顔しといて、やる事ちゃんとやってんだもんな。
ーー史子ってさあ…すんごいスケベなんだね。
ーービックリ!
ーー胸大きいんだあ!
ーー触らせて!ねえ!
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