金木犀

1/3
前へ
/3ページ
次へ
「あら、お父さんいらしてたんですね」 「ほら、今年も綺麗に金木犀が咲きましたよ」 葉の間で無数に咲く花は、まるで深緑色の宇宙に浮かぶ、金色の小さな星のよう。 今は都心では殆ど星は見えなくなってしまったけれど、幼い頃に見た、満天の星空を思い起こすは。 今では、孫に天の川はどこにあるの?と聞かれても、天の川どころか星自体数えるほどしか見られないのが寂しいは。 この辺りも、私が幼い頃には天の川もはっきりと見えていたのよ。 お友達と彦星と織姫はどこにいるのかと、何度も探してみたは。 「今年も金木犀のお酒を漬けましょうね」 「お父さん好きですものね」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加