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「フエン、フエエエン」
ヒヨコじみた黄色のベビー服を纏った赤ん坊は小さな体に反して大音量で泣き続ける。
「私もちょっと抱っこしていい?」
駄目と言われたら、すぐ引き下がろう。
自分の中で保険を掛けながら切り出した。
「大丈夫?」
母は意外にも腕の中の赤子を差し出す風に寄ってくる。
泣き喚く孫をさすがに持て余し気味だったのかもしれない。
「ほら、伯母ちゃんだよー」
まだ髪も疎らな小さい頭と薄いベビー服に覆われた小さな体を支えるようにして抱きかかえる。
「ウエエエエン」
レナータよりもう少し重く大きな体だが、やはり乳臭い、甘い匂いがして、抱いた両腕には温もりが伝わってきた。
「すぐにママは来るからねー」
私の赤ちゃんはどこに行ってしまったんだろう。
ブラに覆われた乳首にまたひやりと滲み出る感覚がして、胸の奥から見えない血がまた新たに流れ出す。
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