授け

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授け

バーバム神様は、全て見据えていた様で…。私が転生を選んでくれた事を喜び、その持っている杖と私が抱えている玉が光り輝いて目の前が真っ白になり…。 気が付くと、私の目の前には、無数の星と一際、緑色と白の斑に輝く…大きな星が有りました。私とバーバム神様が横並びでそれを眺めている形になります。 「あれが、我が世界の星じゃ。森に海に山、湖、地球よりも緑と海が多いのじゃ。生き物も、独自の進化遂げるも、似ておる所は似ておるでの。ふぉふぉふぉ。」 「…そ、そうなんですね。」 私が転生する星を先ずは外から眺めて、次に私とバーバム神様は、その星に吸い込まれる形でその星に向かいます。 「わぁ…」 私は思わず、声を漏らしてしまう程に…その世界の土地を上からゆっくりとしたスピードで眺めていました。 本当に緑が多く、海が、エメラルド色でとても綺麗で、世界の空は、地球の水色の空に近い色をしていて目があちらこちら動かして、止まらなかった。 と、緩かなスピードで、徐々に私達の高度が下がり、とある海岸の砂浜に降り立ちました。 エメラルドグリーンの海に、白く綺麗な砂浜を右側に、左側は、手頃な平坦な草原が少し続くもその先に見えるジャングルの様木が生い茂っていて、更にその先ーに、大きな山が…。 そこまで確認をして、バーバム神様に振り返ると。 「これから、主は此処を拠点として降りたって貰おうかの。ココリコ海岸と言って、ココリコ大陸の北西に当たる場所で、資源と食料が程よく揃ってる場所でも有るんじゃ。後で、地図とこの世界の歴史が描かれた本、それに生活する上での様々な資料を載せた本を渡そうの。その前に、じゃ。」 バーバム神様が、私から1歩下がると小さく何かを告げる…と、私の横に、背格好が同じ、黒子の何かが現れて仁王立ちしていました。 それに私は何故か、両手を胸の高さに上げていて、その手の中に、少し分厚めの本があってバーバム神様とその本、それに、黒子さん?を何度か見た後、取り敢えず、持っている本を開いたら…その本に描かれた人物達に釘付けになってしまいました。 だって、この本…。この本は!想いが一気に溢れ出てしまって、バーバム神様を、私はガン見し。 「ば、バーバム神様!これは!これはっ!」 「ふぉふぉふぉ、主がお気に入りにしていた本の文面を実体化して、写真集にしたんじゃ。そこから、自分がなりたい外見を選ぶと良い。筋肉、顎髭、ハンサム、選り取り緑にしておいたぞ。因みに、10歳から、この地に降り立つので幼年期から、歳を取った時の姿まで幅広く想像つきやすい、ぞ。ゆっくり、選ぶと良い。」 「あ、あ、あ、有難う、有難うごじゃいますぅう!」 こんな、こんな、素敵な写真集もとい、私の転生の容姿が選べるだなんて、しかも、私は…BL好きの、年上でがっちりとした筋肉のおじ様が大好きでして。 もう、私の明かされる事が無かったツボを押さえたラインナップの選びに、感謝の言葉が崩れ、1枚、1枚、時間を掛けて選んだのでした。 しかも、声も選ぶ事が出来て、尚更、時間が掛かりましたが…とある男性像のページを選び、伝えました。 私は、140cm、青色で短髪、二重の目付きが鋭い筋肉型の少年姿に変わりました。一応、この世界での1番安い布の服に麻糸で作られた靴?…いや、サンダルも着用状態です。 声は、子供ながら、高い声ではなく低めの声質で、なんとも言えない高揚感に包まれていました。その様子に、バーバム神様は、何度も何度も頷き「良かったのぉ。」と言ってくれました。 「さて、次は、主自身の名前と使える魔法じゃな。」 「名前、ですか?」 「さよう、千鳥菜緒は、地球上で…言った通りの死に方になっておる。ので、この世界では新しい名前を授けるのが転生での条件でもあるのじゃ。この世界での名前は、カタカナでの名前の表記となっておる。クロスフォードビルゲイドやら、アルファイドネルニード等、何処かの貴族の生まれが多い。それ以外の生まれ者は、名前のみとなっておる。ので、名前のみが良いと思う、ぞ。」 バーバム神様の説明を受けて、成程と私は頷き、それにBL好きがここで役にたちました。私は、直ぐに。 「それなら、私は、ジンが良いです。」 「ほほぅ、ジン…よし、今日から、主はジンと名乗るのじゃよ。では、次は魔法じゃな。ジンよ、容姿を選んだ本を、今一度、開くと良い。」 バーバム神様の言う通りに、私はまだ残っているその本を開くと中の内容が次のように書いてありました。 『この世界に、存在する魔法は、火、水、雷、地、風、聖、暗黒が存在する。それ以外の魔法以外での能力も有るのだが、それは、誰でも持っており、それに気づけた者が閃き、それに関係する能力を上げる事が出来る。しかし、魔法以外の能力は、神の儂でも教えてはならん特別な物であり、ジンには、書いてある魔法の4つを取る事が出来る。因みに、火と水、雷と地、聖と暗黒は同時に取る事が出来ない。』 「へぇ…。」 「分かったかの?少しばかり、制約があるのだが、火の魔法が取れなくても、生活する上での魔法は使えるのじゃ。誰かを攻撃対象にする上での魔法が一切でないだけじゃよ。」 「そ、そうなんですねぇ…悩みますね。」 「ふぉふぉふぉ、ゆっくりで良い。」 若い時に、こう言ったファンタジーもののゲームを朝から晩までやった記憶が蘇って、ちょっと、夢が広がりました。 けれど、ゲームとは違って、此方に生き抜く魔法が必要で、かなり慎重に…けど、胸の高鳴りもちゃんと、感じていて私の口端は自然に、くくって上がっていたんだ。 視線を本に向けて、時間を掛けて決めました。顔を上げバーバム神様の顔を、じっと見据えて。 「バーバム神様、私が欲しい魔法が決まりました。水と地と、風に、聖を希望します。」 「ほうほう、なる程な。」 そう言うと、バーバム神様は、一言、唱えました。 「ギブ。」 次の瞬間、私の全身が紫色の光が薄く包み込み、直ぐに消えて…身体がホカホカと熱い気がしました。 「これで、選んだ魔法が使えるからの。その本に使える魔法も載っておるので、後で確認するといい。では、ジン。」 バーバム神様は、新たに私を…いや、俺を見据えて。 「強く生きよ。困った事があれば本を見よ、ほんの少しの手助けが出来るやもしれん。…ではな。」 そう言葉を掛けて、バーバム神様は、すぅーっと消えていった。居なくなったその場所に、俺は深々とお辞儀し。 「有難う御座いました!!」 感謝の言葉を、出来る限りの声で言いました。俺は、これから、強く自由に生きる。異世界転生の人生が始まった。
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