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1つ驚いた事がある。
子供が居ないはずのギウサさんが連れてきた少年、名前はジンと言った。
オームもやけにその少年を気に入っていて、対応が明らかに違っていた。
初めて、武器屋で自己紹介をした時、特に何も無い…普通の子だと思った。
髪の色の綺麗さや子供にしては筋肉はついているとは、思えど、幼さがある。
それなのに、武器を選ぶ量の多さは…過保護過ぎるとも思うも、何か、オームの中で何かあるのだろうと、僕は思ったよね。
その興味次いでに後を追ってみたら、彼の武器の使い方が、子供じゃない。
色んな集落の子供達の武器の使い方を見てきたが、最低でも1週間は、時間が掛かり、あの動きは…とても出来なかった。
あの時した助言は、興味半分お世辞半分が本音でした。
本当に、子供がギルマンを負かすなんて思いもしない事なのに、ジンの動きを見たら…ドワーフとしての血が騒ぎましたよ。
この子供、化ける、と。
案の定、オームが付ききっりで始めた特訓に食らいつく姿勢は、本当に勝ちに行くという信念が垣間見えましたよ。
それも、豪快にご飯を食べて、気持ちの良い位に。食べたら、また、特訓。
フラフラの身体は、自分では動けなくなる程にやり、その後の世話もオームがやって、それが繰り返されるのを見て。
…全く、呆れたもんです。
けど、日に日に、動きに成長が現れて、真っ直ぐ、大人になろうとするジンの姿は、自然と応援したくなるのと同時に僕も君に負けてられないと思いましたよ。
オームが、彼を世話する間は、他のやるべき事を僕が守るとも…。
そして、どうやら、ギウサさんとは、秘密の修行をしたらしく僕と対峙し、手合わせをして見たら、ギルマンより強い筈の僕が…圧倒される事になりました。
ギウサさんとの修行は、1週間程度なのに、力と相手の攻撃をよく見て次の攻撃をするスタンスは、僕が追い込まれる。
しまいには、こんな子供相手に、使う筈も無いフェイントを使ってしまいましたよ。
それも、3日も経てば、相手に使われて、それすらも彼が習得する。
僕が、彼にした最初の優しさは、どうやら期待以上の成果を出すと、確信しました。
そして、最終日、僕の維持と彼の努力は、互いの切っ先を首に当てて、終了になる。
「はぁはぁ…ガイさん、ありがとうございました…」
「ふぅ…ふぅ…此方こそ…ジン。ありがとう。」
明日、彼はギルマンと対決する。
集落の皆が、その2人の試合を心待ちにしているだろう。
僕とジンは、最後に握手をして、その日が終わる。
願わくば、勝利の女神よ。
若き芽に微笑んで欲しいと、僕は祈った。
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