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ギルド初体験
ドワーフの集落の入り口近くの壁の扉に、俺らはやってきた。
冒険者ギルドの扉は、看板が埋め込まれ、他の扉と違って物々しい雰囲気を醸し出していた。
ごくり生唾を飲む。
確実にこの先には、強い人が居る予感もしていたんだ。
顔が引き締まりもして…まだ、ギウサ師匠の後ろに自然に隠れる。
そんな俺を見越した2人が、オームさんと師匠。
オームさんは、口端を豪快に上げながら、冒険者ギルドの扉を開けて中に入る。
続いて、ギウサ師匠、俺が中に入った。
「入るぞー。」
オームさんが声をかけながら、冒険者ギルドに入ると、下品な笑い声が、4,5人、右の方から聞こえてきた。
「がははは!リーダー!帰ってきたのか!」
「しかも、ジャイアントブーの手柄もたててよ!今夜は、肉祭りだな!」
「リーダー、また、夜にここにおいでよ。飲み比べの圧勝が、あたい、みたいんだ。」
俺は、ギウサ師匠の背後から、少し、顔を出してその様子を眺める。
このお店の中はかなり、広い。
右側に何個か丸いテーブルが置いてあって、奥に、バーカウンターみたいな受付がある。
そんで、左側にも同じ作りだけど、あれだ、空港の荷物預かり受け口みたいに測りの機械が3箇所置いてあって、カウンターがある。
オームさんは、騒がしいグループを難なく笑いながら対応していた。
しかも、美人所のドワーフの女性戦士や人族のグラマーな女性戦士にも囲まれて、キャッキャッウフフで、寄り添うのも見えた。
物凄く凄いと思いつつ、何か、心の片隅に、小さな小さなモヤモヤが感じると思っていたら、師匠が。
「あれは、目に毒になるので、ボクらは、ちゃっちゃっと、料理ギルドに行くサ。」
滅茶苦茶、冷たい小声で、俺に言い、左側のギルドに向かった。
近づくと、割腹のいい女性が、にこっと笑って。
「おや、ギーさん!久しぶりだねっ!今日も良い食べ物持ってきてくれたかい?」
「久々、マーサさん。勿論、美味しい材料、持ってきてあるサ。」
「嬉しいねぇ、ギーさんの持ってきてくれる食材は、皆、待ち望んでいるから、捌きがいが有るんだよ。じゃぁ、計りに…」
言いかけた所で、少し身体を出して、興味深そうに見つめていた俺と目が合った。
物凄く、まじまじと見つめ返されて。
「ギーさん、結婚したのかい?ちゃんと、結婚式の段取りはうちでするって言ってたじゃないか。」
「まだ、ボクは独身王子を貫いているのサ。もう少し、その話は先になるのサ。」
そう言いながら、俺の背中にぽんっと師匠の手が当たる。
「彼は、ジン。ちょいと訳がある才能溢れんばかりの男の子サ。」
「はい!ジンです!ギウサ師匠の元で、お世話になっていたんですがっ、今日から、ここの集落で1年間、修行させて貰う形でふっ」
「あらあら、そうだったかい。ふふ、可愛いねぇ、私は、マーサ。旦那と料理ギルドやってるドワーフだよ。宜しくね、ジン。」
「はい!宜しくお願いします!」
俺はカウンターに近づいて、マーサさんと握手。
歴戦をくぐってきているような…握力がある気がした。
ともあれ、俺が食材に使える物を空間から計りに落とすとマーサさんが早速、測ってくれた。
それに、ギウサ師匠のも、出したんだけども、何でも、ドワーフさん達にほぼ、渡したので手頃な大きさと種類に限ったらしい。
「えーと、ギーさんのは、1000ペイン。ジンちゃんは、700ペインだよ。」
そう言って、それぞれ袋に入れて、硬貨を渡してくれた。
さっきのも合わせるとだいぶ良い金額になったんじゃないかと思った。
師匠、そこそこ量なのに、俺よりも上を行く金額を貰えてて、流石だと思っていた矢先、横から。
「おーいー!そっちが終わったんなら、こっちにも紹介してくれよぉ、うさぎ野郎!」
さっきのグループの1人が、俺とギウサ師匠に向かって話しかけてきたんだ。
…あぁ、何か、物凄く、嫌な予感も、師匠の雰囲気も凄い事になりそうだ…。
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