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スパイダークィーン
身体の悲鳴が聞こえてきそうだ。俺は、その場に尻をつける形で座り込む。師匠の作戦が上手くいって良かった……俺は安堵のため息も出る。
「「ジン君!」」
聞こえてきた声の二人は、ロイドとプーロだ。
プーロは、遠慮しないで抱き着いてくるし、ロイドは、俺の頭をわしゃりかわしゃりか撫で回す。
「凄い!凄いよ!ジン君!」
もう、これでもかって位に抱きしめてくる…く、苦しい。
「プーロ!ジン君が、死んじゃうから、弱めないと駄目だよ」
「あ、ごめん。」
「き、気づいてくれて……助かった」
「どうだ、二人とも。ボクの弟子は、強いんだサ」
そこに、師匠もやってきた。が、師匠が、再び身構えたんだ。
「 キミたち、ワタシの子たち、殺してくれちゃったの? 」
無機質な高いトーンが響き渡る。プーロとロイドが俺の後ろを見て、俺を一気にその場から離れる様に立ち上がったんだ。
師匠が俺らの1歩前に立ち、鍵を構える。……師匠の顔が険しくなっていたんだ。
「 イケないこたち、だねぇ 」
そこに居たのは、上半身はグラマラスな人型の女なのに下半身は蜘蛛の物凄く大きな魔物だった。
魔物のいる場所に居たはずのガッデムも、フローの姿が無く二人分入っているであろう蜘蛛の糸の塊が、その魔物の腰に巻き付けられているのが目に入り、俺はぞっとした。
悲鳴もあげる事もなく、二人があんな状態に――
師匠は、俺達に背を向けた状態で。
「ジン、村に居るオーム連れてこいサ。」
「へっ?」
師匠の言葉に俺は、対応できないで変な声が漏れる。師匠は、俺の方を向いて笑うと。
「ボクらでは、アイツには敵わないサ。」
……多分、多分だけど、俺達の顔は血の気がひいてたはずだ。
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