1人が本棚に入れています
本棚に追加
私が2時46分と言う時間を覚えているのは、あらゆる場所の時計が
その時刻で止まり、
数週間その状態が続いたからだ。
電気がない、時計が止まってると認識していても習慣は恐ろしく、
いつものように時計を眺めてしまう。
3時になる前の、休憩時間の少し前でそわそわしてくる時間だ。
仕事もあと少しで終わり、これからの夜遊びの準備を始める時間だ。
そんな普通の時刻が、あの日から特別な意味を持った。
その1時間後に苦しい思いをした人がいる。
その1週間後に泣き崩れた人がいる。
そして、いまもなおその時間にいなくなってしまった人を探し、苦悩している人がいる。
あの日の2時45分に戻れたら、
あの日の2時47分に戻ったとしたら、
不可能と思っても時間を巻き戻せたら、何かが変わるはずだと、願わずにはいられない。
最初のコメントを投稿しよう!