2章日常

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鮟鱇(バルファイ)深海の化け物と呼んでいるよ。食用だけど捕獲に相当な人手を要するんだ」 「どれだけデカイんだよ、その提灯鮟鱇」 「巨大なんだ。海面から提灯だけが見える時があるんだけれど灯台の光を消してしまう。お陰で何百もの旅客船や漁業船が沈没したり航路を外れたりしているんだ」 「深海魚がなんで水面に出てくんだよ。水圧で死ぬんじゃねえの?」 十六夜の素朴な疑問にハルが言った。 「そこは異世界の生態とは違うところなんだね。あいつらは浜辺に卵を産むんだ」 「海亀みたいだね」 彩花は呆れて呟いた。 「亀は居るけれど主な生活場所は川や森だよ。甲羅を被った変な生き物でひっくり返すとそのまま死ぬんだ。狂暴だけど愛嬌のある生物だから飼っている貴族が多い」 「亀はいるんだ」 彩花は共通点が増える度に落ち着いていくことに気が付いた。 「じゃあさ、河豚もいるんじゃねえ? 名前が違うだけで」 十六夜の質問が飛ぶ。 「河豚とはどんな生態だい?」 「いつもはしぼんでいる癖に怒ると膨らんで威嚇するような魚で内蔵に毒を持っている。 そんで、許可がないと捌けない。高級料理だ。スライムの刺身と同じ感じ」
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