2章日常

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ハルが興味深そうに聞き入っている。 「スライムと同じような食材か、美味しそうだね」 「猛毒だけどな。内蔵が」 十六夜は野菜を口に運び青ざめた。 「なんだよこれっ」 「バイラという食虫植物の葉っぱだよ」 「うえ、これは無理だ」 十六夜は吐き出した。 「だっ大丈夫?」 彩花は慌てて声をかける。食虫植物と聞いただけでも身の毛がよだつというのにまずいとなればもう手を伸ばす気にはなればかった。 「美味しいよ?」 ハルはきょとんとした表情だった。 「いやいや、これは食い物じゃねえよ」 彩花はいつもと違う怯えた十六夜に驚いていた。 十六夜の顔色は頗る悪い。血の気が失せていた。 「アヤカ。君も食べてごらんよ」 ハルに勧められたが彩花は全力で拒否した。 「良いです、無理です。ごめんなさい」 彩花はあとから出てきたスープをぎこちなく呑み込んだ。こちらは可もなく不可もなく飲めそうであった。透き通った液体に肉が浮いている。 「それはプラムという渡り鳥の肉で暖かい季節にしか食べられないんだ。今は秋だけれどそれなりの製法で長持ちしているんだよ」 ハルの説明もろくに聞かずに彩花は鶏肉を食べた。地球の日本で食べる鶏肉よりも脂身が多い。肉は柔らかく、塩が効いている。 「アーティスにも調味料があって良かった」 彩花は素直な感想を述べた
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