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(14)約束
そして僕は、仏様になった先生を家の仏間に運んだ。
本来であれば、先生を寺に運んで即身仏の修行を終えたことを世に知らせることが最後の弟子である僕の役目だった。
約束だった。
先生の望みだった。
先生の即身仏が灯火のように世を明るく照らし、迷える人の導きになることを。
ただ。
僕はそれをしなかった。
僕は約束を破った。
自殺幇助の罪を裁かれることは怖くない。
先生の元から去った弟子たちや檀家の人々に恨みはない。
ただ。
僕は先生の側にいたかった。
それだけだった。
「ねえ先生」
僕は甘えるように言った。
「先生」
「園長先生」
「百合男先生」
「僕と結婚して」
僕は先生に、何度目かわからない言葉を贈った。
先生は何も言わなかった。
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