(4)線香
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(4)線香
「先生、お線香ですよ」 僕は仏間に座る先生のために、お線香を焚いた。 お線香の香りを大きく吸って、僕は唇を舐めた。 僕は手を合わせた。 「生前の先生からは、いつもこの匂いがしていました」 「僕もこの匂いになりたかった」 「先生と同じ匂いになるくらい」 「もっと先生を」 「抱いて」 「ああ」 「すいません」 先生は、何も言わなかった。
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