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「で、今はどうなの? うまくいってるの?」
「ふつうにやってるわよ。私としても、そろそろ二人目が欲しいしね」
「ねえ、どうやって倦怠期を解消したわけ?」
「ちょっと、環境を変えてみたりね」
「環境を変える?」
私は首を傾げた。ちょうどそこに、ウェイトレスがウィンナーコーヒーを持ってやって来て、私たちの前にカップを並べる。私はカップを手に取り、ウィンナーコーヒーを一口啜る。その瞬間、口の中に仄かな甘味が広がり、花からふんわりとコーヒーの香ばしさが抜けてゆく。
「本当にたまたまなんだけどね、ラブホに行くことがあって」
「ラブホねぇ……」
「うん。私の両親が子供を預かってくれて、久しぶりに夫と二人きりで食事に行ったの。私も久しぶりの外食だったから、調子に乗ってずいぶん飲んじゃってさ。それで、ひどく酔っちゃって、結局近くのホテルに泊まろうってことになったのよ」
「それでラブホに?」
「うん。最初は普通のビジネスホテルに泊まろうと思ったんだけど、どこも満室でさ。で、たまたま目についたラブホに入ることにしたのよ」
そこまで喋ると、遥はようやくウィンナーコーヒーを一口啜った。
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