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Lesbian
最初は、ほんの冗談のつもりだった。遊びのつもりのレズビアンごっこ。だけど、今はもうこの世界から抜け出せない。この身体が、この心が、震えながら、遥との蜜約を求める。
遥からお茶の誘いがあったのは一ヶ月前のことだった。遥は大学生の頃からの親友で、今は互いに結婚して家庭を持っている。おまけに、それぞれ子供もいるものだから、独身時代のように自由には遊べない。事実、遥と会うのは一年ぶりだった。
待ち合わせの喫茶店に行くと、淡いブルーのワンピースを着た遥が、窓際の席に座って待っていた。私が店に入ると、遥はすぐに気づいて手を振る。私は手を振り返して、遥が座る席まで行った。
「遥、久しぶりだね」
「本当に久しぶりだね。馨に会うのっていつ以来だっけ?」
「去年の今ぐらいに、恵の結婚式で会って以来だよ」
「そっかそっか。で、元気にしてたの?」
「それなりにね。そっちは?」
「ぼちぼちよ」
遥はそう言うと、小さくため息を吐く。
ちょうどそこにウェイトレスがやってきたので、私たちはウィンナーコーヒーを注文した。私も遥も、大学生の頃からウィンナーコーヒーが大好物だ。生クリームがコーヒーに与える仄かな甘みとクリーミーさがたまらない。
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