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(…賑やかだなぁ)
まぁ、こうなることは想定の範囲内だったけれど、と思いながら、そっと嘆息した成瀬好美は、続きの文章を完成させるため、パソコンに向き合った。
──すべては、好美が属している地域振興局に一本の電話が入ったことから始まった。
『今度の映画の舞台にしたいから、来県したい』
そのための許可取りと、ロケーションとしてどこかおすすめの所はないか、という、映画を撮るという監督本人からの電話で、普段はお通夜のように静まり返っている局内が、一気に賑わい始めた。
しかも、
「ご挨拶に伺いました」
という言葉と共に、監督だと名乗り現れたその人が、朝ドラでも名の知れた俳優・来生來人だと知った局内の人間は色めき立ち、我も我もと、彼を一目見ようと姿を現した。
…しかし。
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