+2+ ロケット乳とマシュマロおっぱい
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+2+ ロケット乳とマシュマロおっぱい

 バサァと黒い羽根を広げて白い空を飛ぶ。  いつもと同じ感覚、と言いたいけれど、全然違った。  なんと、今回の爆睡後の『成長』では身長も髪も伸びなかったけど。なんか、生えた。  お尻に。  いっぱい寝て起きて、うーんと背伸びするなり、バフっとね。どうやら羽根の出し入れと連動するみたい。  黒くて長くて先がハート型の淫魔インキュバスっぽい、エロ可愛いアレ。  俺は半人前だから生えてなかったけど、まあ、淫魔は生えてる率が高いかな。  あの時のシャザールの表情かおと言ったら。  一言で表すなら『絶望』。  なんかね、マリアにも生えてたんだってー、シッポ。  蒼い髪が伸びてレオンにくりそつな俺を泣きながら抱きしめる気満々だったシャザールは、愕然とし、すんごい引きつった笑顔で『貴方は年々マリア様に似ておいでになりますね』と言った。  何アレ? ぜったいアイツら仲悪かっただろ!? タイムスリップ出来たら覗きに行きたいくらいだよ。どんな三角関係だったんだろう!? いや魔王様入れたら四角関係なのかな?  俺は頭を捻りながら長いシッポを翻して空を飛び、北の魔女宅を目指した。  マッハで訪れたのに、北の魔女はまさかの留守だった。謹慎中とは名ばかりでなかなか自由な暮らしジャン。  俺は地団駄を踏み、勝手知ったる奥の部屋へと足を踏み入れた。いうなればココは母親の実家みたいなもんだから。  そして、豪華な金の装飾の大きな楕円の壁掛け鏡の前に立つ。 「⋯⋯あのう、魔法の鏡さーん! おーきーてー!」 §⋯⋯⋯⋯§  シーンと静まり返る薄暗い部屋。鏡は俺の顔を映したまま、あくまでもごく普通の鏡を決め込んでいる。でも知っている。この鏡はかなりの出来るヤツなのだ。 「ねえねえ! 北の魔女はいつ帰んのー? ねえってばー、聞こえてるくせにー」 §⋯⋯⋯⋯§  コノヤロウ。俺はむーと魔法の鏡を前に唇をとんがらせて難しい顔をする。  魔法の鏡はものっすごい女好きなのだ。それも、むちむちボイーンの美女が大好きらしく。昔、マリアにはそれはそれはデレデレだったらしい!  男の俺にはこの調子。主人の北の魔女が居ない時は全く知らんぷりを決め込んで来る。  よーし。こうなったら! 「魔法の鏡さーん、俺がさあ、女の子になったら見たい?」 §⋯⋯⋯!?⋯⋯§  一瞬波打った鏡の表面を俺は見逃さない。 「俺ぇ、そろそろお年頃だしぃ。マリアにそっくりってよく言われるしぃ。実は最近女体化の魔法出来る様になったの。むちむちボイーンな俺、見せてあげてもいいんだけどなあ」 §⋯⋯おっはようございます! レイチェルさん。ご機嫌麗しく何よりでえす⋯⋯§  鏡の面が瞬く間に眩く波打ち、すっかり覚醒した魔法の鏡は、丸眼鏡にジェントルマンなお髭をピコピコ動かして弾む声で挨拶をした。 (ッシャアーーーッ。チョロイ!)  俺は内心ガッツポーズをして、勇んで魔法の鏡にかぶりつく。 「おはよう、魔法の鏡。早速だけどゼアスに会わせて!」 §⋯⋯むちむちボイーンが先ですな⋯⋯§ 「チッ」 §⋯⋯まさか女体化の魔法とか嘘だったのでは? はああ、眠くなって来ましたな⋯⋯§ 「あ――っ! 待って待って!」 §⋯⋯むちむちボイーン、ミス・マリア似のむちむちボイーン。お願い致します。ミス・レイチェル⋯⋯§ (凄い食い付きようだな。なんか、腹立つ。既にミス・レイチェル呼びだし) 「まあ、その⋯⋯女体化の魔法は、実はまだだけど」 §⋯⋯はぁい。それではごきげんよう。また来てねえ⋯⋯§ 「待って! 北の魔女の女体化の薬飲むし! あるだろ!? 絶対こん中にあるだろおおお!?」  俺の必死の叫びに鏡の向こうに消えかけた丸眼鏡とジェントルマンなお髭が帰って来た。 §⋯⋯確かに。ありますな⋯⋯§ 「だろ!? どれどれ~? どうせ知ってるんだろ?」 §⋯⋯勿論でございます。私は北の魔女様の右腕ですからな⋯⋯§  ウキウキと得意になっている魔法の鏡の気が変わらない内にと、俺は魔法の鏡の言う場所を探り、まんまと怪しい小瓶をゲットする。 「コレ?」 §⋯⋯はい。一気に飲み干すのです。三時間ほど理想の乙女になれますぞ⋯⋯§ 「マジで!? え、じゃあ、飲むけどちゃんとゼアスに会わせてくれる!?」 §⋯⋯うーむ、相手が五大悪魔様ともなりますと、なかなか、うーむ。覗き見するにもガードが固いですからなあ、そもそも何か媒介するものがないと⋯⋯§ 「あ! ゼアスの羽根あるよ! 前にぎょんちゃんが取って来てくれた超レアアイテム!!」  あのクリスマスの時にゲットして以来大事に大事にしていた宝物を、シャキーンと取り出して魔法の鏡に高々と見せる。 §⋯⋯ほう、それなら⋯⋯§ 「それに、ぎょんちゃんは? 本当はゼアスの遣い魔なんだよ。魔力供給しにたまに帰ってるよ、繋がってるんだよ、すごくない!? どお、どお? いけそう!?」 §⋯⋯素ん晴らしい! そういう事なら鏡に映すのは無理ですが、貴方がゼアス様の夢の中になら入れますよ⋯⋯§ 「んっきゃ――――!! 魔法の鏡、スッキ――――!!」  思い掛けないラッキーな申し出に小躍りし、文字通り目をハートにしてダイビングハグする俺に、魔法の鏡は心底嫌そうな顔をした。 §⋯⋯そんなナインペタンに抱きつかれた所でってヤツですな。早急にむちむちボイーンを要求致します⋯⋯§ 「よぉろこんで――――!!」  歓喜した俺は怪しい小瓶に入った緑色の液体を躊躇なく一気飲みした。 「⋯⋯まっずっ!」 §⋯⋯おおおおおお~~!!⋯⋯§  あまりの不味さに顔をしかめた俺は突如光に包まれ、ビックリして思わず目を閉じペタンと尻餅をついた。  魔法の鏡からとめどない歓声が上がる。 §⋯⋯白い肌。零れ落ちんばかりの豊満なバスト。くびれたウエストに可愛い小尻。サラサラの長い髪にパッチリ大きな瞳。睫毛ながぁい。ピンクの柔らかそうな唇。なあんと愛らしい!! あのミス・マリアに勝るとも劣らない美少女ぶり!! まさに、むちむちボイーンでございます!!⋯⋯§  鼻息荒く大絶賛する魔法の鏡が、ご覧下さいと変わり果てた俺の姿を映してくれた。 「⋯⋯わお☆」 (へえええ。かんわいい)  正直、女の子に全く興味ない俺だけど、なんかこう、客観的に可愛い。  髪長い。なんかいつも癖のあるチョット跳ねっかえりな俺の髪も、頭の上のアホ毛がピョーンと伸びてなんか可愛いロングヘアー。  そして。おっぱい、おっきい。  思わず両手で下から持ち上げる。ぽにょんとマシュマロの様な弾力に感動してしまう。 「おお~。やわらかっ! 巨乳だあっ」 §⋯⋯うほー! 最高ですぞ。素晴らしいいいい!! ミス・マリアが重力に負けないロケット乳なら、ミス・レイチェルはマシュマロおっぱい。ああ、どちらも良いのです。甲乙付けがたい。あー、どう違うかと言うとですね⋯⋯§  魔法の鏡のこだわりのおっぱい談義が延々と続く。 「あー、そう言うのいいから」 §⋯⋯つまり、並べて見るとこんな感じでございます!⋯⋯§ 「――はあ!?」  いきなり鏡に映し出された二種類の谷間。  え、え、え――――!? 「待って。ナニコレ、まさかマリア?」 §⋯⋯はい。私のマイコレクションのひとつですな⋯⋯§  いやいやいやいや。どこから突っ込めばいいのか。 「え、何。魔法の鏡って、マリア映せるの!?」 §⋯⋯勿論でございますよ。過去の映像を見ることなど造作もないですな⋯⋯§  早く言ってよ~~! 「見たい見たい! マリアもレオンも肖像画でしか見たことないもん!」 §⋯⋯うーん、でもなあ。北の魔女様に叱られますからなあ⋯⋯§ 「えーーー、なんでなんで? いいじゃん! マリアって絶対シャザールと仲悪かったでしょ!? すげー興味あるっ!」 §⋯⋯まあ、それくらいなら。マシュマロおっぱいのお礼に、さあどうぞ⋯⋯§  内緒ですよ、と徐に鏡に映し出された映像に俺はポカンと口を開けてしまった。  魔法の鏡はやはり出来るヤツで。なんと映像は音声付き高画質だった!!