約束の夏

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「なーに言ってんだかって顔だな」 「お、レンもね」 「うんうん。今日は一寸眼科に行かなきゃんだけど、寄れよ」 「ああ」 「じゃぁなぁ」 幼馴染みのレン。 四軒隣の斜め前、幼稚園からずっと一緒。 塾へ行く前、レンの家に寄って、おばさんが作ってくれる軽食で腹ごしらえしてから出掛ける。 レンはいい奴だ。 おじさんもおばさんも優しい。高校生の姉さんはやたら元気だ。 いつも、僕のことを気に掛けてくれる。体操服のゼッケン付けとか。 嬉しくて、時々淋しい。 寄り道しないで下校するように。と言われたが、図書館に寄って行こうと、家とは反対の方向に歩き出した。 日差しが強い。 終業式は明後日。今年は超大型GWのせいで、夏休みはいつもより短い。なんだか損した気分だ。 そういえば、面談のことをまだ父さんに話してなかった。 日陰を選んで歩きながら、真っ白なままの計画表が明日迄に提出だったことを思い出していた。
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