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「い、いや、まあ、そうなんだが、なんでお前がここにいるんだ!」
「いや、お前、どうせいつ聞いてもはぐらかすと思ったからこうして後をつけてやったんだよ」
「ねえ、颯太。この人は誰?」
俺が油断したすきに、俺の陰から、夏夜がひょいとその姿をさらけ出してしまった時、俺は終わったと思った。今夜は綺麗な満月で、そこから降り注ぐ月光は、夏夜の姿を神秘的に映し出した。
俺はどうしようかと言葉を失った。俺の彼女は、カラーコンタクトをしているわけでも、髪を染めているわけでもない。それは、実際にみればわかってしまうだろう。
優馬もさすがに、驚きを隠しきれていない。
「おい、颯太。彼女は……彼女はいったい誰なんだ! ちゃんと説明しろ」
俺は、どうしようかと戸惑ったが、確かに優馬は、口が堅い。そして知りたがり屋であった。これまでの経験から、夏夜の秘密を語ったとしても、彼はそれを第三者に漏洩はしないであろう。そして、もはや逃げられる状況でもなかった。
俺は優馬を少し待たせ、夏夜を連れて少し離れた。彼女の秘密を俺以外に語るのだ。本人の許可は絶対だ。
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