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きっかけ
曾井には想いがあった。
「愛とは何か?
それは、愛とは思いやりであり、心を愛するという意味だ。性も愛と勘違いする人が多すぎるんだよ。
人の肉体を愛するのは物欲だ。きっとそれは、他者に対しても変わらないだろう。浮気だ。
しかし、心を愛するのは、その個人でも他者でも浮気とは次元が違うんだ。
人を愛することが平和につながるからだ。人の真実の愛が見えてくるはずなんだ。世の中は矛盾だらけだとはわかっている。だからといって真理を見過ごしてはだめなんだ。
性交渉があるから人類は繁栄するが、それは悪魔に渡されたパンドラの箱だったんだろう。もし性欲がなくなれば、人を物欲として見ないさ。快楽という麻薬に似た貪欲などなくていい。人はそれに負け離れられないんだ。欲が心を上まるんだ。
強姦を法で裁くだけなら、憲法36条に反してる疑いのある死刑があるんだ、
性犯罪は魂の殺人だ!性器切断(生命維持)を設けるべきなんだよ。強力な犯罪抑止になり、再犯の力もかなり弱められる。それは死刑廃止論にもいえるんだ!
生命維持の切断刑ならば死刑廃止になっても、凶悪犯にとって命を生かす中、生涯にわたり後悔の念と反省を促せられる刑だからだ。そして遺族の気持ちにも応えられると思う。
きっと人類の繁栄が罪人の繁栄となっているのがこの世界。旧約聖書で神が人間をリセットした滅亡も当然さ。そのリセットがこのウイルスと科学で人工授精による繁栄が人間を正しく立ち直せる」と……。
曾井の大学は、医学部および、遺伝子工学学科があり、可能ではないのかと本当に思ったのだ。そこで、遺伝子工学科に志願することにしたのだ。心に従い、悪魔か天使か? 作ってみたいと思ったのである。曾井のウイルス開発はある日、現実へと向かうのである。
学生「あれっ?曾井、お前医学部じゃなかったのか?どうして遺伝子学部に変えたんだ?」
曾井「あぁ、なんかさ、これから遺伝子関係も活躍しそうだしさ、興味がわいたんだ!」
学生「ふぅん、そうかもな、ま、いいんじゃないか…?!」
曾井は大学に出かけ、遺伝子工学部の資料を漁るように集めていた。そして、調査したのは、テストステロン。そう、性欲ホルモンである。「なるほど、可能かもしれないぞ!
性欲を法でがんじがらめにしたところで、いつか爆発するんだ!これでは本当の解決にはならない!俺が必ず抑制を成しとげて見せる!」
曾井は、執念に燃えていた。そして大学の研究部の出入りはその部活であったため可能だった。パーティーションルームであるため周りの目もない。そして、周りの学生たちは、「なんだよお前、ずいぶん熱心だな!何かいいもの開発でもしてるのか?ハハハハ!」こんな冗談が飛びかった。
曾井は、自分の行ってることは本当に間違ってはいないのか?でも、法律規制など期待できない!いくらでも性犯罪は繰り返されるだろう……。きっと俺のしてることは善い世界になるはず…そう信じてるさ! 」
曾井は百合に電話をした。しかし、百合は出なかった。それでも曾井は毎日のようにメールに電話をし続けた。 いつの日か道で百合にあった。逃げる彼女を引き留めた。「私に関わらないで!」しかし、曾井は、「気にすることなんかない!俺は君を愛してるんだから!」曾井は固く百合を抱きしめた。
百合は泣いた。
曾井はプラトニックこそ揺るがない愛と信じていたからである。
そして曾井は、大学の実験室で、ネズミによる実験をしていた。「クソ!だめだ、うまくいかない!」試行錯誤の毎日だ。
その繰り返す日、発見したのだ。
「待てよ、核内にテストステロンが入らないよう、受容体をふさぐんだ。拮抗物質だ。この遺伝子配列を組み替えれば、膜ができテストステロンを拒絶できる。そして侵入が止まることになる。これだ!
フェロモンの抽出を妨げなきゃだめだ、そして、ドーパミン(興奮作用のある神経伝達物質)を骨盤神経に送り込まぬように細胞膜上に同じく塞ぐ膜を組み込もう。ドーパミン受容体に膜を結合すれば、性刺激を阻害できる。
しかしこれだけでは体に支障が起きてしまう。成長に妨げがないよう、そう、性刺激以外は阻害しないよう完全にテストステロンを新たに変異させよう。変異体のテストステロンのみ核内に取り込むことになる。
変異したテストステロンのみが、鍵を開ける仕組みだ。この関連動作をウイルスの遺伝子に組み込むことで性はもはや発生しない」
遺伝子操作により曾井は、成長の悪影響をなるべく起きないよう変異させたテストステロンを作り出したのである。それらを組み込ませた曾井のウイルスによって、人の呼吸器官から細胞に潜り込み、DNA,RNAを意図した形に作り替えられるようになる。
そして、性的ホルモンであるテストステロンが変異をもたらしたことで性刺激を感知できない人体へと変貌した人間に作り替えることができるのだ。
それは、人から人へと子々孫々遺伝子によって受け継がれるのだ。
そして、曾井は、その後も実験を重ね、成功に一歩近づいた。研究員らが曾井がひそかに何かを研究していることに噂が立ち始めていたのだ。
学制A「あいつ、一人きりで実験室に閉じこもりがちだが、やばいんじゃねぇか?」学制B 「そうだよな?何かやばいもの作ってんじゃねえのか?」
そして、凱之という曾井の友人が、曾井の私的実験に気が付いていたのである。友人としても見過ごせなく感じた。
「あいつは何を熱心に実験してるんだ?重大な何かを企んでるに違いない。それはなにか……。」
そして、凱之は曾井の行動を探るようになる。
凱之は曾井の帰った後、実験室を確かめることにした。「あいついったい…?ガサガサ、うん?なんだこれは?テストステロン? テストステロンといえば性ホルモンじゃないか!あいつ…それでなにを……?」
そして凱之は翌日曾井の事情を知るために近づいた。「曾井!」曾井「なんだ?」凱之「実はお前の実験室でテストステロンの資料を見つけたんだ」曾井「え?」凱之「お前何を実験してるんだ?」
曾井「おいおい、お前、俺のこと探ってんのか?」凱之「悪い、ほっとけなかったんだ」「ハハッ――悪気のないことはわかってるさ、いいんだ、お前に隠すつもりはなかったんだ……。」
詳しい事情を説明することにした。
凱之「曾井、その気持ちはわかるが、一歩間違えばお前は人類を滅ぼすことになるんだぞ!それはわかってるんだろうな?」
曾井「目的は説明したとおりだ。人類を滅びることはあくまでも時代が決めることだ。俺が裁くことではなく運命ってのがあるんだ。このままでは、昔から繰り返す性犯罪は食い止めることなんてできっこない!これはそういう闇から救う必要不可欠なことなんだよ。これに国が動くと思うか?
君なら分かってほしいんだ」
凱之「……」凱之は言葉をかみしめることしかできなかった。正論ともいうべきだからだ。凱之は「そう、確かにこのまま法で厳しく罰したところで、最大の欲望でもある性その犯罪を食い止めることは無理だろう…表面上はできていても、裏では性犯罪は繰り返されるに違いない」そう考えた。
しかし、その話に偶然壁に聴き耳を当てていた学生がいた。大樹であった。事情を知ってしまうことになった。
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