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反撃
大樹「嘘だろ!ウイルスベクターは成功じゃなかったのか?クソあいつ、耐性もしくは変異を持たせたウイルスだったのか!それしか考えられない。だが、この速度での変異耐性はおかしい、何かまだあるのか?!もうだめだクソー…!」
凱之「一時は失敗かと気がかりだったが、ウイルスの急速な変異は、きっと(曽井たちの)執念という思考も量子の波動に関わったのさ。きっと時代いや、神も応援してるんじゃないのか、そんな気がするよ曽井……。」
ニュースです。「世界が性欲壊滅の不安に陥っているようです。しかしなかには、性犯罪が減少する喜びの声を上げる人々も増えているようです」
ネットでは
「おいマジかよ!」
「冗談はやめてくれよ~快楽なくなるなんて死んだも同然だぜ」
「マジかよ!これで性の無駄な時間からおさらばだ!」
「ありがとう、私たち障害者には性処理の苦労はいじめと同じ。助かります神様、本当にありがとう!(喜びの涙)」
世の中は確実に変貌していった。風俗は客の減少が著しくなり、性風俗雑誌にAV業界などの性産業衰退は目に見えて顕著だった。暴動さえ起きるほどであった。パニックといえよう。
その後――
多部刑事「うっ、こ、これは!性欲がしかも、大勢に減退が見られるなんてまさかこんなこと、今までに無かった事例じゃないんですか!」
橋塚警部「多部、これは自然発生ではなく、信じられないが人工だったんだ!それには曾井というあの人物だ!」
多部刑事「えっほんとですか!こ、このウイルスを人間――曾井が作成したと言うんですか!まさか……?」
橋塚「あぁ、これは確かだ!!テロだよ!しかも史上最大のな……」
多部「しかし、―体こんな怪物を作り上げた曾井って言う奴は何が目的なんだ……?」
そして刑事達はこの異様なまでの怪現象をなんとか食い止めるべく、NSC協力の下、防止策を迫られたのだが誰も方法も先の見通しが見えなかった……。
その後、島から150k離れた離島に逃れた凱之であったが――
NSC「おい!!いたぞ隊員たち追え!」
必死で逃げる凱之であったが、NSCに捕まる。
凱之は胸の中で叫ぶ
「曾井、お前に託した。いい世界を俺と共に見るんだぞ……。」
曾井はまだ逃げ延びていた。 曾井自身、今はもう成果を待つだけであった。逃げる意味もなくなると感じた。生きているうちに自分の目で、悪魔の性欲から解放される平和の世界をこの目で確かめたかったのだ。
このウイルスは一歩誤れば人類が滅亡するかもしれないだろう。恐怖もなく苦しまない方法にもなるかもしれない……。
果たして、この性欲撲滅ウイルスは世の救いであったのか?それとも、間接的大量殺人であるのかは議論を呼んだ。
そして、人工授精技術は iPSやiMuSCsによる万能細胞で人工生殖細胞が活躍することとなった。世の中の快楽であった性はなくなっていった。性欲のある人間を生み出そうとも曾井のウイルスがそれを阻止したのだ。 これは技術を超えた執念だとうわさが流れていった。いや、昔から今までの性欲と性犯罪に苦しんだ人々との執念という声も多かった。
性欲は三大欲望で排泄を除けば"食欲、睡眠、性欲”という。しかし、この中で犯罪を多く犯してるのは食欲と性欲だ。ほかの欲望に、物(お金)欲があるが、犯罪はそれに並ぶだろう。
ベーシックインカムが、食と物欲の犯罪をある程度防ぐ手立てにはなるだろう。
しかし性欲は曾井による性欲撲滅ウイルスしかなかったのだ。いや、これは人類が受けるべくして受けた罰ともいえるだろう……。
NSCはその後も曾井を追っていた。
NSC「隊員っ!」「ハイ!」「この島に曾井はもういない。本島から半径200k周辺に切り替えて捜査する」
刑事の耳に、曾井の目的がはっきりと知れ渡った。
多部刑事「そうだったのか、曾井の彼女がレイプに――それで、性犯罪撲滅が目的だったのか……。
この職場に就いてからというもの、毎日繰り返す性犯罪。大人がみんな汚い生き物だと異質な感じがするほど不審な思いだった。ふとどうしても頭によぎるのは、犯人の欲望の犠牲に家族、そして恋人までもがトラウマという一生消えない傷を負ってしまうことだ。何も罪もないのにその仕打ちは到底赦されるものじゃないんだ。犯人を絶対赦して堪るかと犯人を懲らしめようと決心し頑張ってきた。その闇を、曾井が幕を引いたのかも知れない――時代がそうしたんだろうか……」
複雑ではあるが曾井に同情の思いさえ感じられずにはいられなかった。
そして、曾井の捜索が幅広く進められた。
曾井の母「あの子は一体どこに行ったの?無事なの……?」
父「曾井、いつかは捕まるんだぞ、それも運命だ、しかし、おまえは正義のためにしたことだと信じてる。自首しろ、そう願ってる」
凱之「曾井、おまえ今どうしてるんだ?無事なのか?きっとあいつのことさ、すでに感染は成功したことをきっと分かっているはず。捕まっても平和に貢献したんだ、死刑にはならないさ! そうだよ……」
曾井はこの現象をしっかりと垣間見ることが実現したのである。曾井は自ら自首しようと警察へ向かった。
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