襲撃

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襲撃

そして、百合が遠く目の前にいた。 曾井「ゆ……百合!」 百合「あ、曾井君!」 道陰から一人の男が出てきた。 男「あなた、曾井さんですか?」 曾井「えぇ、あなたは?」 その途端、男は持っていたナイフを曾井の脇腹に突き刺した。男は走って逃げた。 曾井「うっ……」 百合「いやーー!そっ、曾井君!」 駆け寄る百合。 「きゃーーっ!!」 百合は突然起きた目の前の出来事を受け入れられなかった。 曾井はうめきながら必死で百合の顔を見つめ話しかけたのだ。 曾井「百合ぃ…」 曾井「百合……。うぅうぅ」 「曾井君しっかりして…」 百合「何もしゃべらないで!お医者呼ぶから!」 曾井「ぐぁぁ……百合」 百合「喋ったらだめよ!」 そして救急車がたどり着いた。 百合と曾井はその救急車に乗った。 百合はそのときに気がつく――心の中で―― 「曾井君、破壊ウイルスはあなただったのね……。」 百合の瞳から涙が溢れでる。 百合は理解していた。百合そして、多くの性被害者の苦しみから救いたい曾井の一途な気持ちは痛いほどわかっていたからだ。 百合「いや!だめ、きっと助かるわ!頑張るの!」 曾井「もう俺は助からない。自分で分かるんだ。話をしっかり聞いてくれ!」 百合「なに言ってるのよ!」 曾井「ゆ、百合……」 百合「曾井君、ここに私はいるわ!」 曾井「百合、心配ばかりかけてすまない。百合は僕と付き合わなければよかったな」 百合「それは違うわ!私、あなたのおかげで希望の灯を見ることができたんだもの。あなたは間違ってなどいないわ!性の犠牲は仕方のないことよ!」 曾井「確かに君と別れるのは辛い、でも自分の目的は果たしたんだ。うぅ そして、平和の世界を見ることが叶ったんだ!本当に僕は幸せなんだそう、満足なんだ」 百合「曾井君…」 曾井「百合、僕はいなくなってもそんなこと気にすることじゃない。僕の目指した世界はこれから君とみんなのものなんだ。これからもこの世界で誰かと幸せになってほしい。元気でな百合……」 百合「いやっ!」 曾井の流した血は、悪魔が最後に抵抗した槍であり、その犠牲となる滴だったのではないだろうか……。 曾井の脳裏には痛みも恐怖心が感じられなかった。 世の中を再生できた喜び、自分の心を愛してくれた、そして愛した仲間、 百合との出会い。その生きた証が走馬灯となって駆け巡った。 それがとても幸せだったからだ。 「百合、世界の皆さん、幸せに……。」 そして曾井は息を引き取った。そのとき、曾井は風となった。 曾井の死後 百合の心から希望の糸がちぎれた、引き裂かれるように―― 大切な人を失ったことが夢であってほしいと―― 泣きじゃくる子供のような姿がそこにはあった……。 そして、曾井の父、母は病院に駆けつけた。 母「あぁ、私の、私の……どうして……目を開けてっ!」 母は涙が止まらなかった。 父「……息子よ、しっかりしろ、あぁ息子よーーっ!」 父は肩を落とした。 母「あぁ、あなたなんてことなの息子が死んだなんて嘘よ嫌よ……」 父は涙ながらに言った「……母さん、息子は…息子は自分の使命を果たしたんだこの子らしいじゃないか」 母「あなたそんなのんきなこと言わないで!」 父「息子のことだ息子の幸せなんだ……」 父は膝をつき泣をこぼした。「あぁ、息子よ~」 心の中で父は「お前は本当に強い奴だったさ、死が失望ではない、誰にも死が訪れるが、何を世になしたか、それが良い結果だったんだからな…しっかりと社会のために大きな賭けに勝ったんだからな。わしはお前の創ったこの世界におまえの分まで生き抜いて、いずれ、そばに逝きお前を褒めてやるから待っていなさい」 そして、母「おまえ、ほんとに死んだのかい?なのにこんなにも幸せな顔して……。私たちもいずれお前に会いに逝くから今は先に待っておいで…」
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